【分野】磁気物理

【タイトル】Ni-Fe磁性ジャイロイドの磁気構造の可視化に成功

【出典】
・東北大学ホームページ(2020年のプレスリリース・研究成果),https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/04/press20200427-04-three.html
・J. Llandro, et al., “Visualizing Magnetic Structure in 3D Nanoscale Ni−Fe Gyroid Networks”, Nano Letters, DOI: 10.1021/acs.nanolett.0c00578.

【概要】
スピントロニクスの分野が確立されて30年以上が経つが,東北大学電気通信研究所は,新たにNi-Feを用いた磁性ジャイロイドに関する研究成果を発表した.電子線ホログラフィーを用いて磁性ジャイロイドの磁気構造を解明することに成功し,音声等の時系列情報の処理に適した新概念コンピュータなどへの応用が期待されている.

【本文】
東北大学電気通信研究所のJustin Llandro,深見 俊輔,大野 英男の諸氏は,海外の研究チームとの共同研究で,Ni-Feを用いた磁性体によるジャイロイドの形成に成功し,電子線ホログラフィーなどの手法でその複雑な磁気構造を明らかにした.ジャイロイドは,図1に示すような3次元に連続する周期的な構造物で,自然界においては蝶の鱗粉が有名で,光を特定の方向に屈折させる性質がある.また,人工的にも液晶や様々な多孔質材料などで見られ,特異的な性質が示される.磁性ジャイロイドにおいては,音声などの時系列情報の処理を得意とするリザバー計算機などの新概念コンピュータへの有用性を示唆するものであり,今後基礎・応用の両面で様々な展開が期待される.本研究の詳細は,2020年4月6日に米国の科学誌「Nano Letters」のオンライン速報版で公開された.

図1 ジャイロイドの構造(左:70.5oの角度をなして捻じれた一対の三叉路構造,中央:一対の三叉路構造が組み合わさってできた単位胞の構造,右:単位胞がx,y,z方向に2つずつ並んだネットワーク構造)
出典:東北大学ホームページより

(信州大学 曽根原 誠)