Satoshi Sugimoto Tohoku University
令和3年(2021年)6月より, 皆様方のご推挙により中川活二会長の後を引き継いで本学会の会長を務めることになりました.大変光栄である一方で,本学会の重厚な歴史と伝統,さらには光り輝く実績を考えますと,責任の重大さを痛感するとともに身の引きしまる思いです.
皆様がご存知の通り,本学会は日本学術振興会第137委員会を母体として,1977年に「日本応用磁気学会」として発足しました.2007年には「日本磁気学会」と改称し,昭和,平成,令和と3つの元号を経て,今年で発足から45年目を迎えます.また,「磁気」というキーワードの下に,理学,工学の両分野を両輪に様々な分野の研究者が集って情報交換や共同研究を進め,さらには学会運営にも携わるなど,他にないユニークな学会です.さらに,日本の磁気に関する産業や学術研究の先導役を果たすだけでなく,国際的にも日本の磁気関連学会の代表として位置づけられています.
思えば私が本学会に入会したのは,当時の泊りがけでのサマースクールに参加した1982年の大学院生の時でした.教科書でしか見たことのない著名な先生方と夜遅くまでお酒を酌み交わしながら議論させていただいたことは良き思い出となっています.このアットホームでかつ研究に対して真剣に取り組む精神は,今も変わらず生きています.職を得てからも,永久磁石分野に携わる学術界と産業界の皆様から沢山のご教授を受けてきただけでなく,企画委員会,財務委員会,理事,副会長などの活動を通じて多くを学ばせていただきました.この度,新会長のご指名を受け,本学会をさらに発展させていくことこそがその責務であり,これまで受けた御恩に報いるものであると感じております.
本学会は,上述したように「磁気」を通じて分野横断的な研究活動の場を提供する学会です.今後も未来を先導する領域を開拓し,世界の磁気関連分野をリードしていくためには,近年の研究分野の細分化,多様化,複雑化が進んでいる中でも,立場の異なる研究者・技術者にとって魅力ある,まさに「磁気関連の研究と技術の全てがわかる」と感じられ皆が集う有益な学会を目指して努力していきたいと思います.また,従来の活動をさらに活発化させるだけでなく,若手研究者・技術者の育成と活動自体のグローバル化をも視野に入れた戦略を練っていく必要があります.このような点からも2023年に 仙台で開催されるIntermag2023にも協力し,海外との交流・情報発信を行って活動の場を広げていきたいと存じます.
以上のように,本学会の活動を活発化し,中心的学会として我が国ならびに世界の磁気関連分野の高度化に貢献できるよう努力して参りたいと存じます.
会員の皆様のご理解,ご協力,ご鞭撻をお願い申し上げます.
<略 歴>
1984年 東北大学 大学院工学研究科 金属材料工学専攻 博士課程前期2年の課程 修了
1984年 東北大学 工学部 金属材料工学科 助手
1990年 学位取得 工学博士(東北大学)
1992年 東北大学 工学部 材料物性学科 助教授
1996年 英国 バーミンガム大学(文部省在外研究員)
1997年 東北大学 大学院工学研究科 材料物性学専攻 助教授
2004年 東北大学 大学院工学研究科 知能デバイス材料学専攻 助教授
2006年 東北大学 大学院工学研究科 知能デバイス材料学専攻 教授
2014年 東北大学 レアメタル・グリーンイノベーション研究開発センター センター長(併任)
2018年 東北大学 副理事(産学連携担当)(併任)
2018年 東北大学 産学連携機構副機構長(併任)
現在に至る.