分野:

磁気材料

出典:

JEMS(JOINT EUROPEAN MAGNETIC SYMPOSIA) 06 II – Dp – 001 (2005年6月26~6月30日、サンセバスチャン、スペイン)

タイトル:

レオロジーで磁石の異方性方向を機械的に連続制御

概要:

松下電器産業(株)は異方性の方向を径方向から接線方向に機械的に連続制御するラジアル異方性希土類ボンド磁石の作製法、並びにその表面磁石型同期モータ(SPMSM)を提案した。(JEMS 06 II – Dp – 001) 異方性方向を最適化した(BH)max 151 kJ/m3の磁石は、同一寸法で正弦波着磁した80 kJ/m3等方性NdFeB系ボンド磁石8極12スロットSPMSM(出力40W)のモータ効率を6 %改善し、コギングトルク(Tcog.)を40 %以上低減した。

本文:

松下電器産業(株)は異方性の方向を径方向から接線方向に機械的に連続制御するラジアル異方性希土類ボンド磁石と、その表面磁石型同期モータ(SPMSM)を提案した。(JEMS 06 II – Dp – 001)

SPMSMは回転子の磁石と対向する固定子鉄心にスロットとティースが存在する。このため、磁石の回転に伴ってパーミアンスが変化し、コギングトルク(Tcog.)が発生する。Tcog.はSPMSMの滑らかな回転を妨げ、騒音振動の増加や回転制御性を悪化させるので、高(BH)maxのラジアル異方性磁石のSPMSMへの適用を阻む主因であった。

D. Howeらは SPMSMのTcog.低減法として磁極毎に磁石を最大5個の断片とし、異方性方向を断片毎に段階的に制御するhalbach方式を提案し、断片数に応じてTcogが低減するとしている。(Proc. 17th Int. Workshop on Rare-Earth and Their Applications, pp.903-922, 2000)

そこで、SPMSMの磁極毎に回転子の接線方向に対する異方性の最適角Φn~96を電磁界解析で求め、均一配向磁界方向に対する96の磁極断片の機械角θn~96から磁石の仮形状を決め、その後、レオロジーで最終形状とするとともに、熱硬化して磁石とした。磁石粉末81 vol.%のとき(BH)max 151 kJ/m3が得られ、厚さ1.5 mmの磁極中心の接線に対する異方性角度Φを90度(固定子鉄心ティース幅に対応)、磁極端を5度、その間を直線的な連続変化したとき、回転子機械角に対するΦn~96とθn~96は、ほぼ一致した。この手法を利用すれば、同一寸法の正弦波着磁した80 kJ/m3等方性NdFeB系ボンド磁石を用いた8極12スロットSPMSM(出力40W)のモータ効率79%から85 %と6%向上し、Tcogは3.8 mNmから2.2 mNmと40%以上も低減した。これにより、家電や情報機器に用いられる出力10~50W SPMSMの異方性希土類ボンド磁石による省電力小型化の進展が期待される。

なお、本研究は「エネルギー使用合理化技術戦略的開発」事業の一つとして実施するNEDO技術開発機構との実用化フェーズの共同研究である。

(松下電器産業(株) 山下 文敏)