分野:
磁気材料
出典:
Proceedings of 19th International Workshop on Rare Earth Permanent Magnets & Their Applications August 30-September 2, 2006 Friendship Hotel Beijing, China
タイトル:
中国産希土類原料高騰の事情と世界第2位の希土類資源を有するロシアの実状
概要:
 世界第1位の希土類資源を有する中国においては、汚染および環境保全の問題に対応するため生産および諸経費のコストが高まり、希土類価格の高騰を引き起こしている。一方、世界第2位の希土類資源を有するロシアは、多くの鉱石が低品位でありかつインフラが整っていないためまだ生産は進んでいない。
本文:
 China Rare Earth Office Pre-State Planning CommissionのPre-ChiefであるF.HONG氏により、中国における過去5年の希土類資源の採掘、加工、輸出および世界の市場動向について詳しい報告があった。

 中国における希土類資源の採掘量は、2001年に80,600トンであったものが2005年には118,710トンに急増している。この理由は、包頭の生産量が汚染問題で2002年から減少しているのに対して、江西省のイオン吸着鉱、四川省 のバストナサイトなど、中国南部の生産量が2001年にはそれぞれ19,200トンと10,400トンであったものが、2005年にはそれぞれ44,000トン、25,710トンに急増したためである。

 すなわち、世界市場への主要な希土類原料供給者である中国の希土類産業は、近年の経済発展に伴い大きく発展した。しかしながら、その急速な成長は汚染および環境保護などを含む多くの問題の原因となった。中国政府は経済的および行政的に継続的な計測をする必要があり、また、国内市場の需要を保障するために、希土類原料の輸出を制限しなければならなくなった。環境保全の要求を満たさない幾つかの希土類生産工場は、その汚染が酷い場合には完全に閉鎖されている。その結果、生産コストと諸経費が高くなり、希土類原料の価格は高騰している。

 さらに重要なことは、精神的および実務的な衝撃を輸入者および海外の最終消費者に生じさせていることである。この結果、2つのドミノ効果がおこることになる。一つは、市場の希土類不足を補うため、幾つかの海外の新しい希土類鉱床(例えばMount WeldやAustralia)の採掘開始、また幾つかの閉鎖されていた古い鉱床(例えばMount Pass)の採掘再開がある。もう一つは、海外の最終消費者の企業自体が中国国内に移って来ざるを得ないということである。

 Ural Association of Permanent Magnet DevelopersのN.V.KUDREVATYKH氏によって、ロシアの原料事情について詳しい報告があった。

 旧ソ連は世界第2位の希土類資源保有国であるが、その98%はロシア国内にある。ただ不運なことに、ロシアの希土類元素は低品位の鉱石であり、かつ、インフラの整っていない地域にある。

 14鉱床の鉱石の主なものはKola半島のApatite-nepheline鉱石(60.2%)であるが、希土類の抽出工程はまだ確立されていない。他は、Lovozersky鉱床のloparite鉱石(14.2%)、Sakha共和国(Yakutia)のSeligdarsky鉱床のapatite鉱石(22.8%)、Tyva共和国のUlug-Tanzekskyのレアメタル鉱床およびKomi共和国の Yaregsky鉱床の油を含んだ砂岩である。ロシア国外ではキルギスタンである。希土類資源は51,500トンであり、殆どがKutessaisk鉱床にある。

 Sakha共和国(Yakutia)の北にはCIS最大のレアメタル鉱床Tomtorskoyeがある。pyrochlore-monazite-crandallite鉱石の廃物マントルから希土類酸化物が13-14%含まれる高品位ものが得られる。

 今日現在の希土類原料供給はLovozerskoye鉱床からである。鉱石は約1%の酸化希土を含んでおり、濃縮で30-31%の酸化希土を含んだものにしている。主にセリウム族である(97.7%)。Lopariteは希土類、アルカリおよびアルカリ土類のTi-Nb-Ta酸塩であり、希土類企業であるJSC”Solikamsk Magnesium Plant”の基礎材料である。塩化物、炭酸塩、希土類酸化物、水酸化物、Nb、Ta、Tiなどが製造される。2005年の工場のlopariteの総売上げは7,436トンに達した。また、希土類の売上げは2004年に比べて16.3%増大し、$16.4百万に達した。

 2006年3月にはLovozersky MPPとSolikamsk Magnesium PlantとSimlet(Estonia)の経営者達が、彼らの生産を高めるために、より精錬された工程を有する特別な統合会社を作ることに合意した。全ての工程で製品の品質向上を進めことになる。ただ、希土類の高純度酸化物と金属の最終製品をロシアの市場に供給するかどうかは未定である。

 ロシアでは、原子力の連邦機関および幾つかの非鉄金属の企業で希土類の生産を再開または実行する可能性はあるが、Silmetという企業はエストニアにあるため、ロシア国内での商業スケールでの希土類金属の生産はまだ確立されていない。

(住友金属鉱山株式会社 大森賢次)