167.01
【分野】磁気物理

【タイトル】共鳴非弾性X線散乱によるハーフメタル物質の実験的検証

【出典】
R.Y. Umetsu, H. Fujiwara, K. Nagai, Y. Nakatani, M. Kawada, A. Sekiyama, F. Kuroda, H. Fujii, T. Oguchi, Y. Harada, J. Miyawaki, and S. Suga, “Half-metallicity of Mn2VAl ferrimagnet revealed by resonant inelastic soft x-ray scattering under magnetic field”, Phys. Rev. B 99 (2019) 134414.

【概要】東北大金研のUmetsuらのグループは、Mn2VAlバルク単結晶試料について磁場中共鳴非弾性X線散乱測定を行い、理論計算で予測されるような高スピン偏極状態であることを実証した。

【本文】
CoやMn基ホイスラー合金においてハーフメタル型電子状態を有する磁性体が第一原理計算によって数多く提案されている中、バルク平衡状態にて本当に高スピン偏極状態を有しているのかを実験的に検証するのは、なかなか困難である。東北大学・金属材料研究所の梅津准教授は、Mn2VAlホイスラー合金のバルク単結晶試料を作製し、阪大基礎工の藤原・関山グループ、阪大産研の菅名誉教授、黒田・小口グループ、東大物性研の宮脇・原田グループとの共同で、SPring-8放射光施設のBL07LSUに設置されている、超高分解能分光器を用いて共鳴非弾性X線散乱(RIXS)実験を行った。外部磁場を印加し、左右円偏光を励起光に用いることで、RIXSスペクトルに磁気円二色性(MCD)を見出した。RIXS-MCDスペクトルと、第一原理計算によって得られる理論スペクトルを比較検討することにより、RIXS-MCDの大部分の成分は、スピン偏極した2p3/2 mj = -3/2 状態からの励起、および生成された内殻ホールに対する3d電子の緩和に由来する発光成分であることを明らかにした。これにより、Mn2VAlの電子構造が理論計算で予言される高スピン偏極状態であることを、実験的に検証することに成功した。RIXSはバルク敏感である上、測定が磁場印可の影響を受けないことから、単磁区化させた状態で磁性体の電子状態を調べることができる。今後、関連の研究が大いに進展することが期待される。
(東北大 梅津理恵)