【分野】磁性材料

【タイトル】レアアース量の少ないSm(Fe0.8Co0.2)12化合物の磁石化の可能性を実証

【出典】
H. Sepehri-Amin, Y. Tamazawa, M. Kambayashi, G. Saito, Y.K. Takahashi, D. Ogawa, T. Ohkubo, S. Hirosawa, M. Doi, T. Shima, and K. Hono;Acta Materialia,94(2020),37-342.
DOI : 10.1016/j.actamat.2020.05.026

レアアース量の少ないSm(Fe0.8Co0.2)12化合物の磁石化の可能性を実証
https://www.nims.go.jp/news/press/2020/06/202006100.html

【概要】
国立研究開発法人 物質・材料研究機構と東北学院大学はThMn12構造を有する永久磁石材料で高い磁化と実用レベルの保磁力1.2Tをホウ素添加したSm(Fe0.8Co0.2)12薄膜で実現することに成功した。

【本文】
 従来、ThMn12 構造を持つ永久磁石材料は、様々な種類が検討されておりますが、二つの課題がありました。
一つ目の課題である飽和磁化に関しては、2016年に薄膜で平山らがNdFe12NⅩを作製し、ネオジム磁石を超える飽和磁化が示されましたが、二つ目の課題である保磁力に関してはこれまで大きな進展が得られておりませんでした。今回、国立研究開発法人物質・材料研究機構のH. Sepheri-Amin主幹研究員らと東北学院大学の嶋敏之教授らのグループは、
Sm(Fe0.8Co0.2)12化合物にホウ素を添加することにより、結晶粒界にアモルファス相を形成させ、
Sm(Fe0.8Co0.2)12のナノ結晶組織をアモルファス相が取り囲む複相組織を構成することで保磁力が実用レベルの1.2Tを得ることに成功しました。作製された薄膜は結晶方位が一方向に配列しており、1.5Tという高い磁化も同時に達成し、高温にした際の保磁力の減少割合もネオジム磁石と比較して低いことが示されました。 今回の報告は、ThMn12系の一つのブレークスルーであり、今後は薄膜での更なる特性向上や、粉末、バルク体での高保磁力化が期待されます。

(大同特殊鋼株式会社 髙林 宏之)