【分野】スピンエレクトロニクス
【タイトル】反強磁性体の磁化の動きを可視化
【出典】
Yu Shiratsuchi, Shunsuke Watanabe, Hiroaki Yoshida, Noriaki Kishida, Ryoichi Nakatani, Yoshinori Kotani, Kentaro Toyoki, and Tetsuya Nakamura, Observation of the magnetoelectric reversal process of the antiferromagnetic domain, Appl. Phys. Lett. 113, 242404 (2018).
Spring-8プレスリリース
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2018/181219/
【概要】大阪大学 白土優准教授、高輝度光科学研究センター(以下、JASRI)中村哲也主席研究員らの研究チームは、反強磁性のスピン(磁区)が電圧によって動く過程を可視化に成功した。反強磁性のスピンの変化をダイナミックにとらえることで、反強磁性体を用いた電子デバイスの低消費電力化・高速化の開発加速が期待される。
【本文】反強磁性のスピンの動作速度は、強磁性体と比較して100倍以上高速で動くと予想されており、電子デバイスの高速動作が期待できるが、反強磁性体は、スピンが原子レベルで相殺されているため、強磁性体の磁区のようにスピンの動きをとらえることができなかった。本研究では、3つの手法を組み合わせて、電圧による反強磁性スピンの動きをとらえることに成功した。まず、電圧を印加して反強磁性体の上下のスピンの大きさを変化させる。(電気磁気効果)次に、反強磁性体に現れるスピンの構造を、交換磁気異方性をもちいて上の強磁性体に転写する。最後に、強磁性体に転写されたスピンの構造をSPring-8の文部科学省・元素戦略プロジェクト<磁性材料研究拠点>で開発された走査型軟X線磁気円二色性顕微鏡を用いて観察した。これによって、反強磁性体が、磁区構造をもって磁壁が移動しながら磁化反転する様子をとらえることができた。本手法によって、電圧で反強磁性スピンを制御する電子デバイスへの応用が期待される。

(大同特殊鋼 宇根康裕)