テーマ:「バイオマグネティクス」
日時: 2014年3月26日(水)13:30~16:10
場所: 中央大学 駿河台記念館
共催: IEEE Mag. Soc. Japan Chapter
協賛: 日本磁気学会ナノバイオ磁気工学専門研究会
参加者:11名

 ナノスケールの磁性は、工学分野ばかりでなく、バイオ分野においても、これを観察・計測する技術の重要性が増してきている。今回のナノマグは、当分野の先駆者のひとりである2014年IEEE Magnetics Society Distinguished LecturerのTim St Pierre教授をお招きし、人体中の鉄磁性測定による疾病診断と、ナノ磁性粒子による治療方法の研究成果をご紹介いただいた。さらに、同分野の最先端研究成果として、滋賀県立大のBalachandran Jeyadevan教授より、Fe3O4磁性ナノ粒子を用いた磁気温熱療法のご研究をご報告いただいた。急な研究会の設定となり参加者は少なかったが、活発な質疑応答、討論がなされた。

  1. IEEE Magn. Soc. Distinguished Lecture “ Magnetic Materials in Medicine: Applications in Diagnosis, Management, and Treatment of Disease.”

    ○Tim St Pierre(The University of Western Australia)

    鉄は人体中の重要な機能要素であり、その磁性状態が病気によって変化する。生体内、あるいは体液サンプル中の鉄の磁気測定により、遺伝性臓器障害の危険性の評価、鉄キレート化剤薬の服用量の決定、マラリア原虫の感染型識別などの診断方法が紹介された。また、10〜100nmの磁性粒子を人体に注入することにより、磁気共鳴映像のコントラストの増強や腫瘍識別、さらに、癌細胞の局所加熱や患部への薬の直接輸送などの治療法への適用が、ビジュアル化された豊富な資料で示された。

  2. “ Magnetic Fluid Hyperthermia: Challenges and Future Prospects from Material Perspective”

    ○Balachandran Jeyadevan (The University of Shiga Prefecture)

    本研究室では、凝集しやすいナノ粒子を、高い分散性を維持したまま合成可能なポリオールプロセスを活用し、様々な金属ナノ微粒子の合成に成功している。今回は、合成した Fe3O4磁性ナノ粒子を生体組織中に導入して患部を加熱する磁気温熱療法が紹介された。 Fe3O4磁性は交流磁場により発熱するため、加熱しても血管が拡張しない癌細胞を選択的に壊死させることができる。発熱効率を高めるナノ粒子サイズ、周波数、磁気特性が議論された。

文責:五十嵐万壽和(HGST)