スピン × センサ × IoT

日 時:
2020年1月17日(金)10:15~16:20

場 所:
東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター東京
参加者:
60名

  本研究会では,センサとIoTをキーワードに,磁気工学,スピントロニクスの分野で活躍されている産官学の8名の研究者をお招きしてご講演頂いた.参加者は60名(うち非会員7名)を数え,急遽並べた予備の椅子まで満席となる中で,非常に活発な議論がなされた.講演では,物理や材料に関する基礎研究から,医療用磁界センサやセンサネットワークなどの応用研究まで幅広く扱われた.どの講演にも多くの質問がなされ,参加者にとって満足度の高い研究会になった.

  1. 「室温MRセンサアレイを用いた心臓磁界計測」
    ○澁谷朝彦(TDK)

     心臓磁界(Magnetocardiography: MCG)をはじめ生体磁界の計測には,生体磁界の微弱な信号を検出する必要がある.TDKにて開発された室温MRセンサアレイを用いた心臓磁界計測装置(TDK 室温MR MCGシステム)の概要と,これまでの計測例が示された.

  2. 「さまざまなアプリケーションに対応可能なTMR磁気センサ」
    ○大兼幹彦(東北大)

     高感度,小型,低消費電力動作可能な強磁性トンネル接合磁気センサ(TMRセンサ)は,IoT社会におけるキーデバイスの一つである.講演では,TMRセンサの微小生体磁場計測,高感度非破壊検査,高精度電流検出への応用について紹介された.

  3. 「半導体薄膜磁気センサとその応用」
    ○吉田孝志(旭化成エレクトロニクス)

     旭化成エレクトロニクス(株)における化合物半導体薄膜を用いた磁気センサ(ホール素子,及び磁気抵抗素子)の基本原理,製品ラインナップ,応用の現状,及び将来展望などについて説明された.

  4. 「Fe-Sn合金薄膜の異常ホール効果を用いた磁場センサ」
    ○藤原宏平,塚﨑 敦(東北大)

     室温スパッタリングにより作製したFe-Sn合金薄膜が異常ホール効果型ホール素子用材料として優れた特性を示すことが報告された.さらに,フレキシブルホール素子への応用の可能性についても紹介された.

  5. 「マルチチャンネル磁気センサモジュール」
    ○早坂淳一(電磁研)

     高感度なナノグラニュラーTMR素子をアレイ状に配した300ch磁気センサモジュールと,その応用としてリチウムイオン電池内部の微小な欠陥電流の可視化技術について紹介された.

  6. 「スピンカロリトロニクスに基づく熱流センサ」
    桐原明宏、○石田真彦(NEC)

     スピンゼーベック効果や異常ネルンスト効果等のスピン流を活用した熱電変換技術は,素子コストと耐久性の点で高い潜在性を有している.講演では,主にこれらの技術に基づく熱流センサの開発とその活用可能性について議論された.

  7. 「柔らかいスピントロニクス素子を利用したメカニカル動作のセンシング」
    千葉大地(阪大)

     スピントロニクスのIoT応用展開を目的としたメカニカル動作のセンシング技術が紹介された.フレキシブル基板上の柔らかい巨大磁気抵抗素子や,トンネル磁気抵抗素子における磁気弾性効果を活用した素子では,小さな応力で生じるひずみやその方向のセンシングが可能であることが示された.

  8. 「スマートセンシングシステムの動向」
    ○高浦則克(日立製作所)

     ITとOT(Operational Technology)融合を実現するスマートセンシングシステムの動向が報告された.無線端末,コンセントレータ,各種センサ,振動発電の技術開発やロボット制御のユースケース,及びエッジ向け不揮発メモリの動向などが紹介された.

文責:加藤剛志(名大),斉藤好昭(東北大),
谷川博信(ソニーセミコンダクタ),深見俊輔(東北大)