第22回ナノバイオ磁気工学専門研究会共催

「医用磁性ビーズの作製とその応用」

日時:2007年10月30日 13:00~16:45
場所:キャンパスイノベーションセンター東京
参加者:69名

 医用磁性ビーズの合成からその応用に関して、海外及び国内の第一線で活躍している方々から最新の研究を紹介して頂くとともに、今後のナノ磁性技術の動向や医療・バイオ分野への展開についてもご講演頂いた。各講演とも、多くのデータが示され非常に充実した内容で、質疑も活発になされ、磁性ビーズの医療への応用に関する参加者の関心の高さを窺うことができた。

講演内容:

  1. 「Iron Oxide/Gold Plasmonic Magnetic Nanoparticles」
    Sara Majetich (Carnegie Melon Univ., Distinguished Lecturer of IEEE Mag. Soc.)

     粒径20 nmの磁性酸化鉄を金で被覆した粒子の金の被覆度で表面プラズモンの波長が調整できることを報告し、暗視野顕微鏡によりナノ粒子のブラウン運動の軌跡を追従することで、溶液中での粒子径を計算する方法を紹介した。また、磁性ナノ粒子を交流磁界中に置くと、周波数が高くなるにつれヒステリシスが生じる実験結果を示し、ナノ粒子磁気ハイパーサーミアの発熱機構についての物理的解釈を示した。
     

  2. 「Current Status and Future of Magnetic Nanobeads for Biomedical Applications」
    Todd Tilma (The Asian Technology Information Program)

     ナノテクノロジーとバイオテクノロジーの現状について世界的な観点からの報告とともに、人口、科学技術など様々な将来予測の統計データをもとに、日本は欧米よりももっとアジアに目を向けて、技術協力や資金援助を積極的に行い、将来のマーケットを開拓するべきだと提案した。
     

  3. 「生体適合性磁性ナノ粒子の磁気特性と温熱効果」
    松井正顯(名大、豊田理研)

     ガンの温熱療法のための生体適合性を持つスピネルMg(Fe1-xTix)2O4のバルク体とナノ粒子の磁界発熱特性に関する研究を紹介した。x = 0.35の試料はキュリー温度Tcが70℃で、発熱能はFe3O4より高く、温度制御が可能な発熱体として有望であることを示した。また、スピネル混晶系ナノ粒子では、A、Bサイトのイオン占有状態が発熱特性に関係することを示した。
     

  4. 「機能性磁気ナノ微粒子の創生とバイオ応用」
    一柳優子(横国大)

     アモルファスSiO2に内包された磁気ナノ粒子を作製し、医療への応用を視野に入れて微粒子に機能性を持たせる試みを行った。シラン化剤を用いて、アミノ基を修飾し、細胞内へ導入した結果と、外部磁場による生体内での磁性粒子の局在化や細胞選択性について紹介した。
     

  5. 「医用磁性ナノビーズを用いたガンの診断と治療」
    阿部正紀(東工大)

     磁性ナノビーズが応用されつつある”センチネルリンパ節の診断法”や、磁気共鳴画像(MRI)診断においてT1強調陽性画像が得られるマグネタイト微粒子、磁気ハイパーサーミアにおけるナノ磁性体の粒子径と発熱特性の関係などを紹介した。また、磁気ハイパーサーミアにおける問題点を挙げ、それを克服できる新たな磁性粒子や交流磁場発生技術を紹介した。
     

  6. 「磁性粒子を用いた医療・環境用高感度磁気イムノクロマト法の開発」
    大本泉、小林幸司(積水化学)

     近年、臨床検査・環境測定分野において迅速・簡易な測定法であるイムノクロマト法が注目されている。新たに開発した磁性微粒子を適用した高感度定量磁気イムノクロマト法の原理や実証結果について、実用化例も挙げて説明した。
     

(文責 野田紘憙(和歌山大)、阿部正紀(東工大)、中川貴(東工大))