会長からの挨拶

  竹村 泰司  横浜国立大学/日本磁気学会会長
  Yasushi Takemura  Yokohama National University


 令和5年(2023年)6月より,杉本諭会長の後を引き継ぎ,本学会の会長を務めることになりました.日本学術振興会第137委員会を母体として,1977年に「日本応用磁気学会」として発足した本学会の歴史と伝統を考えますと身の引きしまる思いです.
学術講演会と国際会議,並びに学術コンテンツの活用をここでの話題にします.
昨年,信州大学にて学術講演会が対面で開催されました.各セッションでは本学会ならではの発表と質疑が,またセッション以外では分野を超えた交流がなされ,本学会の素晴らしさと存在意義を改めて認識しました.この5月の,大盛況だったINTERMAG 2023には多くの本学会会員が参加されました.展示会等を通じて企業会員皆様と研究者・技術者が直接,交流することもできました.この1年間に味わった,忘れかけていた”盛り上がり”がさらに高まるであろう,今年の第47回学術講演会(9月27-29日,大阪大学)には是非,ご参加くださいますようお願い致します.特に,この3年間,交流の機会が乏しかった,スポンジのような吸収力がある学生・若手研究者や,産業界の皆様が「参加してよかった」と思える機会になるよう,努力します.少し先ですが,2025年4月21-24日に沖縄で開催されるInternational Conference of Asian Union of Magnetics Societies (IcAUMS 2025)を本学会が主催します.アジア以外からも多くの講演者,参加者が見込まれ,こちらも是非ご予定頂けましたら幸いです.
本学会は,発足からの47年間に発行された膨大な論文や解説,研究会資料,書籍等の学術コンテンツを保有しています.磁気物理,磁性材料,磁気応用など磁気に関する全てがあると言っても過言ではありません.J-STAGE(国立研究開発法人科学技術振興機構 JSTが管理する電子ジャーナルの無料公開システム)では,日本応用磁気学会誌の第1巻(1977年)から,論文特集号とJournal of the Magnetics Society of Japanも全巻,論文や記事毎にダウンロードできます.しかし,この会報「まぐね」や研究会資料,学術講演会概要集(第38回以降は学会ホームページから無償ダウンロード可)は,以前販売したDVDが売り切れ状態で,いわば埋もれています.これらは学会の資産であり,貴重なコンテンツを利便性の高い手段でアクセスできるようにすることは学術団体の責務と考えます.アーカイブ化の最適形態,学生・若手研究者に何が必要か,オンラインツールの変化などを考えながら,学術コンテンツが会員及び広く社会に活用されるように新たな取り組みを検討しています.
本学会の分野横断的な立ち位置には良さと難しさが共存しますが,学術講演会,研究会,会報,論文誌等による情報共有と交流に,会員の皆様がよりメリットと喜びを見いだせるよう,努力して参ります.本学会が,磁気に関する学術活動並びに産業活動を支援する団体として社会に貢献するために,皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます.

<略 歴>
1988年 東京工業大学 工学部 電子物理工学科卒業
1990年 東京工業大学 大学院理工学研究科 電気電子工学専攻修士課程修了
1993年  同 博士課程修了、博士(工学)
(1991年~1993年 日本学術振興会特別研究員)
1993年 横浜国立大学 工学部 電子情報工学科 助手
1995年  同 講師
1997年  同 助教授
2007年 横浜国立大学 大学院工学研究院 教授(現在に至る)
2009年~2020年 横浜国立大学 学長補佐

その他の職歴
1997年~1998年 ポール・ドルーデ固体エレクトロニクス研究所 客員研究員
2005年~2007年 横浜市立大学 医学研究科 客員準教授
2007年~2011年  同 客員教授

本学会における活動
1999年~2001年 総務委員
2001年~2003年 総務幹事
2009年~2014年 ナノバイオ磁気工学専門研究会 代表世話人
2018年~2019年 バイオマグネティックス専門研究会 代表世話人
2015年~2019年 理事(国際)
2021年~2023年 副会長

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