66.02

分野:
磁気応用(生体磁気)
タイトル:
ウェーブレット変換と独立成分分析を用いた心磁図のノイズ除去の検討
出典:
The noise rejection method for magnetocardiogram using wavelet transformation and independent component analysis, Koichiro Kobayashi, Masahito Yoshizawa and Yoshinori Uchikawa, 11th Joint MMM-Intermag conference 2010(Washington, USA)
概要:
 心磁図を用いて心臓手術後の患者の性状を評価することが試みられている。しかし開胸心臓手術後の患者の肋骨部分にはワイヤが装着されており、大きな磁気ノイズとなり問題である。その為、ノイズのみを低減させることが重要な課題である。そこで、ウェーブレット変換(WT)を独立成分分析(ICA)の前処理としたノイズ除去方法を提案し、その有効性を示した。
本文:
 心磁図計測は,著者らが開発した64chの心磁計を用いた.術後のワイヤによる磁気ノイズを模擬したモデル実験として,健常者の第3肋骨中心部の体表に,直径約2cmの円形ステンレスワイヤをテープにて貼り付け,MCGを測定する.次に,被験者と心磁計の位置を移動することなく,ワイヤのみを取り外しMCGを測定する。この計測によりワイヤの有無のみ異なるデータを取得できる。
本研究では、fast-ICAを用い,波形の尖度が最大となるように分離行列Wを推定する.ワイヤノイズの混在したデータは尖度が小さい為,十分な分離制度を得ることが困難である.従って,WTを前処理とすることで,観測信号の尖度向上が期待でき,ICAによる分離制度が向上すると考えられる.そこで信号の尖度向上が期待でき,fast-ICAの高速性を損なわない処理であり,かつ可逆的であるLiftingを用いた.また、分離成分の信号とノイズの選別方法は,線形判別分析を用いた.
 ワイヤを付けた状態で計測した心磁図波形に提案手法によるノイズ処理後を行い、前処理を行わないICAの結果、前処理に0.5Hzのハイパスフィルタを用いたICAの結果を比較した。相関係数を用いた計測波形と等磁界線図による比較の結果、どちらの結果も提案手法が最も高い相関係数を得た。この結果より、ICAの前処理としてWTを用いることの有効性を示した。

(岩手大学 小林宏一郎)