17.04

分野:
計測・高周波デバイス
タイトル:
ペンタセン薄膜電界効果型トランジスタ中の電界注入キャリアのESR観測
出典:
第9回SPring-8シンポジウム (2005/11/17-18)
概要:
 9月に同志社大学で行われた日本物理学会において、名古屋大・東北大のグループの共同研究として、表記のペンタセンFETに電界効果で注入されるキャリアのスピン状態をESRで観測したとの報告がなされたのでレポートする。
本文:
 有機半導体薄膜を用いた分子デバイスの研究は低コストで作製容易な応用上の利点に加え、有機分子中のキャリア状態を研究するための手段としても注目を集めている。今回報告を行った名古屋大グループは、既に立体規則性ポリアルキルチオフェンを半導体層とするMISダイオード構造を作製し電場誘起ESR測定を行い、電界注入されたキャリアのスピン状態の観察に成功している(JPSJ 73 (2004) 1673.)。今回は、低分子系FET材料として最も良好なデバイス特性を出すことのできる分子の1つとしてペンタセンを選び、電界効果型FETを作製、同様のESR測定を室温から100 K程度まで行っている。その結果、ゲート電圧印加時と非印加時で明瞭なESR信号差を観測し、さらに強度がゲート電圧とともに単調増加する様子も観察した。この信号強度から求められたスピン数は、接合容量から求められたそれと良い一致を示し、(1)注入キャリアはスピンを持つこと、(2)およそ1011個のスピンが誘起されることが明らかとなった。このような手法はスピン観測の新たな手法として注目される。

(大阪大学 白石誠司)