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15.07(第20回国際結晶学連合総会 (XX congress of the International Union of Crystallography, Florence, Italy, 2005.8.23-31))

分野:
磁気物理
タイトル:
電放射光とパルス強磁場を用いたX線吸収測定 (IUCr2005より)
概要:
 第20回国際結晶学連合総会(Florence, Italy 2005.8.23-31)で30T以上の強磁場と放射光X線実験を比較的容易に行えるようにするため、小型パルスマグネットを用いた測定技術の開発について報告があった。
本文:
 2005年8月23-31日、Florence, Italyで第20回国際結晶学連合総会 (XX Congress of the International Union of Crystallography: IUCr2005)が開催された。この会議は、国際結晶学連合が開催する学術講演会の総会で、約60カ国から2000件以上の発表が寄せられる結晶学関係で最大の研究集会である。

 この中で、日本原子力研究所の稲見らは、30Tを超えるの強磁場下での放射光X線実験を比較的容易に行えるようにするための超小型パルスマグネットを用いた測定技術の開発について報告し、これまでに開発したパルス強磁場下でのX線回折測定に続いて、パルス強磁場下でのX線吸収測定も成功したと発表した (X-ray Diffraction and Absorption Studies under Strong Pulsed Magnetic Fields: P.20.20.5,Acta Cryst. (2005). A61, C471) 。

 彼等は超小型マグネットを放射光ビームライン(SPring-8・BL22XU)に設置し、磁場30T, 温度4 K の環境でX線散乱測定及びX線吸収測定を可能にした。SPring-8・BL22XUではエネルギー領域5~70keVでの利用が可能である。この装置ですでに、32Kで30TまでのX線回折測定を行いYbInCu4の磁場誘起価数転移による格子変形を26Tで観測している。さらに、5Kでパルス磁場印加のX線吸収を測定し、明瞭な磁場変化を観測することに成功したと発表した。

 このパルスマグネットは超小型で可搬性が高いので、他のさまざまな施設/ビームラインにも適応するさいに、放射光施設サイドに大きな変更・改良を必要としない。今後、パルス強磁場と放射光X線実験を組み合わせた磁性研究が進展することが期待される。 

(日本原子力研究所 安居院 あかね)