分野:
磁気物理
タイトル:
FePt規則合金ナノ粒子の合成(京大化研・小野研究室ほか)
概要:
 新たな溶液法の開発により、CoCr系合金の10倍以上も高い磁気異方性定数を有するFePtナノ微粒子の合成に成功した。微粒子サイズは6 nm程度であり、粒径がそろい、十分な規則性を有すると共に、溶液中で安定に分散した状態で取り出すことができる。
本文:
 L10規則構造を有するFePtは現行のCoCr系合金の10倍以上も高い磁気異方性定数Ku (約7×107 erg/cc)を有することが知られており、そのナノ微粒子は1 Tb/inch2を超える将来の超高密度記録媒体の有力な候補として世界中で精力的に研究されている。溶液法によるFePtナノ微粒子の合成はサイズおよび形状を比較的容易にそろえることができる利点があり、盛んに研究されているが、現状の溶液法ではFeおよびPtがランダムに配列したface-centered cubic (fcc)構造、または規則化の不充分なL10構造のFePtナノ微粒子しか合成することができない。それゆえ、充分に規則化したL10構造を形成させるためには不規則相FePtナノ微粒子に対する熱処理が必要である。しかしながら、この熱処理によって粒子同士の凝集が起こり大きさや形状が不均一になる問題がある。また、実際に磁気記録媒体として応用するためには、L10-FePtナノ微粒子の磁化容易軸の方向を制御することが極めて重要であるが、その実現は困難であった。そこで今回、小野らのグループでは”SiO2-Nanoreactor法”と名付けた新しい合成ルートを用いることにより、大きさが6 nm程度のよく粒径のそろいかつ十分に規則化したFePt規則合金ナノ粒子の合成に成功した。この微粒子は300 Kで19 kOeもの保磁力を有する。さらに、この合成法を用いることにより、充分に規則化したL10-FePtナノ微粒子を溶液に安定に分散した状態で取り出すことができる。

(大阪大学 白石誠司)