5.05

5.05:第28回MSJ学術講演会

磁気アルキメデス効果を用いてアルミナ微粒子の誘起磁気双極子の観測に成功

   齋藤ら東大・物質材料研究機構の研究グループは磁気アルキメデス効果(液体と固体の密度差で決まる浮力の原理に磁場の寄与を取り入れた効果(Ikezoe et al., Nature 393, 749 (1998):増強モーゼ効果の垂直方向への拡張効果であり、磁化率差が大きく、かつ密度差が小さい液体と固体を選択することで弱い外部磁場下で固体の浮上を可能にする)を利用して弱磁性物質である直径10ミクロンメートル程度のアルミナ粒子(反磁性体物質)の誘起磁気双極子の観測に成功した(23aD-PS-41)。
   齋藤らは、40wt%の塩化マンガン水溶液(常磁性物質)を液体に選び、均一な磁場方向と平行にアルミナ粒子が配向する様子をCCDカメラでとらえた。
   また、物質材料研究機構の安藤らは不均一磁場下における金粒子配列のMDシミュレーションを行い、金粒子の三角配列が磁気双極子相互作用により形成されることを検証した(23aD-PS-42)。同研究グープでは以前に直径1ミリメートルの金粒子の磁気配列を観測しているが、今回の結果は体積比で100万分の1の測定に成功したことになる。本成果は平衡系であるが、同じく弱磁性体で構成される生体細胞やDNAの解析に非常に有用である。また、本法はより小さな粒子への適用が可能と判断され、ナノ強磁性体解析等の新手法として磁気物理分野への貢献も大いに期待される。
   非平衡系に関しては、東北大の高橋らによって発表された配向材料作製時の挙動に関する報告が、磁気を材料プロセスに適用する上で非常に有益な知見となる。磁気浮上した溶融パラフィンは凝固に伴い分子配向し、磁化率の絶対値が小さくなることが報告された(23aD-PS-51)。

(早稲田大学 杉山敦史)