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【分野】スピントロニクス

【見出し】原子をランダムに並べた新材料で高性能メモリー素子を実現

【出典】
・産総研ホームページ(2023年12月プレスリリース)
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2023/pr20231222/pr20231222.html
・Y. Hibino, T. Yamamoto, K. Yakushiji, T. Taniguchi, H. Kubota and S. Yuasa “Highly Energy Efficient Spin Orbit Torque Magnetoresistive Memory with Amorphous W-Ta-B Alloys”
Adv. Electron. Mater. 2300581(2023)
DOI:10.1002/aelm.202300581
URL: https://doi.org/10.1002/aelm.202300581

【概要】
産業技術総合研究所(産総研)は、不揮発性メモリーSOT-MRAMの微細配線に用いる新材料として、アモルファスW-Ta-B合金を開発し、SOT-MRAMの実用化のために不可欠な「低い書き込み消費電力」と「優れた耐熱性」を初めて両立した。この成果は、演算チップの低消費電力化と高機能化に貢献すると期待される。

【本文】
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 新原理コンピューティング研究センター 日比野 有岐 研究員、谷口 知大 研究チーム長は、次世代の不揮発性メモリー SOT-MRAMの実用化の鍵となるアモルファスW-Ta-B合金を開発し、スピン流を高効率に生成することによって消費電力の大幅な低減に成功した。
アモルファスW-Ta-B合金からなる微細配線の上に記憶素子(MTJ)を配置したSOT-MRAM素子を試作し、書き込み消費電力の低減に必要な低い書き込み電流密度(5×106 A/cm2)、および半導体チップの製造に不可欠な優れた耐熱性(400℃でも壊れない)を初めて両立した。従来の結晶材料を用いた場合、低消費電力の書き込みが可能な材料では耐熱性が300 ℃に満たないために半導体チップ製造工程で壊れてしまう、また、優れた耐熱性を持つ材料では書き込み電流密度が6倍以上も大きくなる、という深刻な問題があった。新開発のアモルファスW-Ta-B合金は、超高速かつ低消費電力のSOT-MRAMを実用化するための重要技術であり、SOT-MRAMを搭載した演算チップはスマートフォンやパソコン、サーバーなどの省電力化と高機能化に貢献すると期待される。

文責者:(産業技術総合研究所 湯浅新治)

図1 (左)微細配線上に記憶素子(MTJ)を載せた不揮発性メモリー SOT-MRAMの概略図。(右)スピン流を生成する微細配線の従来材料(結晶)と新開発の材料(アモルファスW-Ta-B合金)

表1 配線材料の特性、およびSOT-MRAM実用化に必要な性能 

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