190.01

【分野】スピントロニクス

【タイトル】ベイズ推定を用いた新たな電子構造の解析法を開発

【出典】
・東北大学ホームページ(2021年のプレスリリース・研究成果),
URL:https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2021/07/press20210728-1-Bayes.html
・Satoru Tokuda, Seigo Souma, Kouji Segawa, Takashi Takahashi, Yoichi
Ando, Takeshi Nakanishi, and Takafumi Sato; Communications Physics 4, 170(2021), 1-8.
DOI番号:10.1038/s42005-021-00673-6
URL:https://www.nature.com/articles/s42005-021-00673-6

【概要】
東北大学材料科学高等研究所の佐藤教授らの研究グループは、ベイズ推定を用いることで物質の電子構造の全貌を明らかにする新しい解析手法を開発し、トポロジカル絶縁体に対して有用であることを証明した。今後は、より広範な機能材料への適用と材料開発の進展が期待される。

【本文】
東北大学材料科学高等研究所の佐藤宇史教授、九州大学情報基盤研究開発センターの徳田悟助教、京都産業大学理学部の瀬川耕司教授、ドイツ ケルン大学の安藤陽一教授、産業技術総合研究所 産総研・東北大数理先端材料モデリングオープンイノベーションラボラトリ(MathAM-OIL)の中西毅ラボ長らの研究グループは、IT分野などで幅広く用いられている「ベイズ推定」という統計学的手法を用いて電子構造の全貌を明らかにする新しい解析方法を開発した。物質中の電子状態を観測する手段として用いられる角度分解光電子分光(ARPES) によって得られたデータに対して、本解析手法を用いることで、特異な挙動を示す「トポロジカル絶縁体」と呼ばれる新奇物質における相対論的ディラック電子の質量を正確に決定することに成功した。また、電子に働く多体相互作用の完全決定にも成功し、ディラック電子と物質内部のバルク電子との間で強い散乱が生じていることを突き止めた。
今回、研究グループは、ベイズ推定とARPES 実験を組み合わせた電子構造の新たな解析法がトポロジカル絶縁体に対して有用であることを示したが、この手法は、トポロジカル絶縁体に留まらず、より広範な機能性物質への適用が期待できる。今後、本解析手法に基づく正確な電子構造の理解を足掛かりとした、次世代電子デバイス材料の開発が期待される。

(大同特殊鋼株式会社 髙林 宏之)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください

前の記事

189.01

次の記事

保護中: 191.01