186.01

【分野】スピンエレクトロニクス

【タイトル】トポロジカル反強磁性金属の超高速スピン反転を実証

【出典】
・Shinji Miwa, Satoshi Iihama, Takuya Nomoto, Takahiro Tomita, Tomoya Higo, Muhammad Ikhlas, Shoya Sakamoto, YoshiChika Otani, Shigemi Mizukami, Ryotaro Arita, and Satoru Nakatsuji, “Giant effective damping of octupole oscillation in an antiferromagnetic Weyl semimetal”, Small Science 2021, 2000062 (2021)
・https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/smsc.202000062
・https://www.issp.u-tokyo.ac.jp/maincontents/news2.html?pid=13070

【概要】
東京大学物性研究所・トランススケール量子科学国際連携研究機構の三輪真嗣准教授は、東京大学大学院理学系研究科、東京大学大学院工学系研究科、東北大学学際科学フロンティア研究所、東北大学材料科学高等研究所と共同で、物質中の電子がもつ磁石としての性質、すなわちスピンの反転速度が反強磁性金属では10ピコ秒(1000億分の1秒)と極めて速いことを実証した。

【本文】
東京大学物性研究所・トランススケール量子科学国際連携研究機構の三輪真嗣准教授らは、反強磁性金属、特に拡張八極子偏極を有するトポロジカル反強磁性金属Mn3Snに着目し、ストロボスコープ法によりスピンの動きを検出することで反転の様子を観測した。パルス幅が0.1ピコ秒程度のごく短いレーザーパルス光を用いてMn3Snにおけるスピンの動きを検出したところ、隣接した個々のスピンが反対方向に運動する反強磁性体特有の内部振動モード(モードI)と、十数ピコ秒で減衰する個々のスピンが全て同じ方向に運動するモード(モードⅡ)が観測された。この結果より拡張八極子偏極は減衰定数10ピコ秒以下の超高速減衰であることが明らかとなった。約1を示す磁気ダンピング定数はこれまでに報告された磁性体の磁気ダンピングの中で最高値である。また、本研究により実験的に得たMn3Snのスピン振動を記述する物理パラメータ群を用いると、拡張八極子偏極で作られたドメイン壁が10 km/sと超高速で動き得ることも明らかとなった。これらの結果は、Mn3Snを用いてメモリ等の電子デバイスを作製すれば、テラヘルツ領域の超高速動作が可能であることを意味することから、今後、磁気メモリ等の電子デバイスにおける超高速動作の実証が期待される。(岩手大学 三浦健司)

Spin and crystal structures of Mn3Sn and schematic diagram of the time-resolved MOKE measurements (TR–MOKE).

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