184.01

【分野】 スピンエレクトロニクス

【タイトル】高磁気抵抗比と巨大垂直磁気異方性を示す新規磁気トンネル接合の理論提案

【出典】Keisuke Masuda, Hiroyoshi Itoh, Yoshiaki Sonobe, Hiroaki Sukegawa, Seiji Mitani, and Yoshio Miura, ”Interfacial giant tunnel magnetoresistance and bulk-induced large perpendicular magnetic anisotropy in (111)-oriented junctions with fcc ferromagnetic alloys: A first-principles study”, Phys. Rev. B 103, 064427 (2021).
DOI: 10.1103/PhysRevB.103.064427

【概要】物質・材料研究機構の増田らは、fcc強磁性合金を含む新規(111)配向磁気トンネル接合について第一原理計算を行い、高い磁気抵抗比と大きな垂直磁気異方性が得られることを実証した。

【本文】磁気トンネル接合(MTJ)は磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)や各種センサーに応用されるスピントロニクスデバイスであり、特にMRAM応用に向けては高いトンネル磁気抵抗比(TMR比)に加え大きな垂直磁気異方性(PMA)が必要となる。従来型の(Co)Fe/MgO/(Co)Fe(001) MTJでは強磁性電極(Co)Feのバルクのバンド構造が高いTMR比を与え、(Co)FeとOによる界面電子状態がPMAをもたらすことが理論実験両側面から示されてきた(図(a))。しかし更なるTMR比、PMAの向上に向けて、常に新たなMTJの可能性を模索していくことが重要である。
 本研究で増田らはfcc構造を持つCoNi、CoPtなどのL11強磁性合金に着目し、これらの合金とMgOの新規(111)配向MTJを検討した(図(b))。fcc構造では(111)面が最密原子面であり、(111)配向MTJを検討することが最も自然である。またバルクL11強磁性合金は[111]方向に強い結晶磁気異方性を持つため、これらのMTJで大きなPMAの発現が期待される。計算の結果、彼らはL11強磁性合金からの大きなPMAに加え、Co-O界面電子状態の共鳴トンネルに由来する巨大なTMR比が得られることを示した。このような界面共鳴トンネル機構に由来する巨大TMRは本著者らによる、よりシンプルな(111)配向MTJ に対する先行研究(K. Masuda et al., Phys. Rev. B 101, 144404 (2020))で提唱されていたものである。
今回の結果は新規(111)配向MTJの有用性を示すものであり、新機構による高TMR、巨大PMAの実現という学術的新規性も有している。今後、本結果の実験的検証や他の(111)配向MTJにおける関連研究の進展が期待される。
(物質・材料研究機構 中谷友也)

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