【分野】スピンエレクトロニクス

【タイトル】2次元材料CrI3の磁性を電圧で制御することに成功

【出典】
S. Jiang, L. Li, Z. Wang, K. F. Mak and J. Shan, “Controlling magnetism in 2D CrI3 by electrostatic doping”, Nat. Nanotech. https://doi.org/10.1038/s41565-018-0135-x (2018).

B. Huang, G. Clark, D. R. Klein, D. MacNeill, E. Navarro-Moratalla, K. L. Seyler, N. Wilson, M. A. McGuire, D. H. Cobden, Di Xiao, W. Yao, P. Jarillo-Herrero, and X Xu, “Electrical control of 2D magnetism in bilayer CrI3”, Nat. Nanotech. https://doi.org/10.1038/s41565-018-0121-3 (2018).

【概要】
S. JiangらのグループとB. Huangらのグループがそれぞれ2次元磁性材料CrI3における反強磁性-強磁性相転移を電気的に制御できることを独立に発表した。

【本文】
電場印加で磁性を制御することは低消費電力の磁気メモリへ応用が期待される。最近、2原子層のCrI3が磁場で磁気相転移を起こす層状型の反強磁性体であることが示された。S. JiangらのグループはCrI3-グラフェンのヘテロ構造を使った電気的ドーピングを使って1原子層および2原子層のCrI3の磁性制御を試みた。その結果、1原子層CrI3については電気的なドーピングによって強磁性相での飽和磁化・保磁力・キュリー温度が大きく変化することが分かった。これはホール/電子ドープによって磁性相が強まったり弱まったりすることを示している。一方、2原子層CrI3においてはある電子ドープ量以上で反強磁性から強磁性(基底状態)へと相転移することが分かった。これは層間の交換結合がドープ量で大きく変化することを示しており、2原子層CrI3では小さなゲート電圧によって磁気スイッチングを行うことができることが分かった。
一方、B. Huangらのグループでは電場によって2原子層のCrI3の磁性制御を試みた。測定にはMOKE顕微鏡を利用している。彼らは反強磁性と強磁性が双安定の状態になるよう一定磁場を印加したところ、反強磁性-強磁性間の相転移が電圧で制御できることが示された。
 以上、2つのグループの結果は、電気的なゲーティングが様々な交換結合のバランスを変えることを示しており、電場制御の光エレクトロニクスや磁気デバイスへの応用が期待される。
(東京大学物性研究所 谷内敏之)