分野:
磁気記録
タイトル:
交換結合スイッチ層を有する三層構造の熱アシスト磁気記録媒体
出典:
“The concept and fabrication of exchange switchable trilayer of FePtX/FeRh/FeCo with reduced switching field.”
T. Zhou, K. Cher, Z. Yuan, J. Hu, and B. Liu
Digest of the 56th Magnetism and Magnetic Materials Conference, AD-12 (2011).
概要:
 DSIのZhouらは、熱アシスト磁気記録に適した媒体として、温度による交換結合の切り替えが可能なFePtX/FeRh/FeCo三層構造を開発し、同構造による磁化反転磁界の低減効果を実験的に確認した。
本文:
 DSIのZhouらは、熱アシスト磁気記録に適した媒体として、温度による交換結合の切り替えが可能なFePtX/FeRh/FeCo三層構造の提案を行った。

 この媒体構造は、加熱によってFeRhが反強磁性状態(AFM)から強磁性状態(FM)へ相転移する性質を用い、FeRh層を熱アシスト磁気記録過程における加熱時にのみFePt層とFeCo層を交換結合させる交換結合スイッチ層として機能させるものである。交換スプリング効果と反磁界効果によって磁化反転磁界を5分の1にできるとの計算結果が示された。FeCo層は軟磁性裏打ち層(SUL)としての役割も担い、高磁気モーメント材料を使えばさらなる記録アシスト効果が期待できると述べている。またFeRh層のAFM-FM転移温度はFeRh層に添加する材料および組成比によって比較的簡単にコントロールできるため、記録ヘッドの性能に合わせて媒体を設計することが可能である。

 実際にFeCo層からFePt層まで(001)配向した膜を作製することに成功し、FePt単層膜に比べて磁化反転磁界が3分の1に減少することを実験的に示した。FePtX/FeRh/FeCo三層構造の作製においては、製膜中の加熱プロセスによる層間の拡散を抑えるためにMgOやTaN、Ru、Ta等の薄い(~0.5nm)バッファー層を各層の間に挟む必要がある。このような層間の拡散を抑えながらいかにグラニュラ化するかが今後の課題である。

(日立製作所 武隈育子)