46.01

分野:
パワーマグネティックス
タイトル:
SRジェネレータの可変速運転時の効率に関する検討
出典:
J. Magn. Soc. Jpn., 31, 254-257(2007)
概要:
 福島県ハイテクプラザの高橋淳電子・情報科科長らの研究チームは、SRジェネレータを小型風力発電機に応用するために、広い回転速度の範囲で発電効率を高く保つことができる可変速運転法について検討した。
本文:
SRジェネレータは、構造が簡単で堅牢であり、保守が容易で、回転子の慣性モーメントが小さいなどの特徴を持っている。小型風車は風速の変化に応じて風車の回転速度が大きく変化するので、慣性モーメントが小さい可変速運転可能な発電機が求められる。これに対して、福島県ハイテクプラザの高橋淳電子・情報科科長らの研究チームは、小型風車の機械出力の変動に追従しながら効率良く発電するために、SRジェネレータの可変速運転システムを開発した。

 検討を行った発電機は、固定子8極、回転子6極の4相SRジェネレータである。固定子の外形が100 mm、固定子の内径は50.2 mm、ギャップ長は0.2 mm、0.5 mm厚の電磁鋼板50H290の積み厚は52 mmである。SRジェネレータの励磁回路には、サプレッションレジスタコンバータを使用した。サプレッションレジスタコンバータは、使用するスイッチング素子数が非対称ハーフブリッジコンバータに比べて半分で済み、回路損失も少ない。

 SRジェネレータの可変速運転制御回路は、FPGA(Field Programmable Gate Array)を使って製作した。可変速運転システムでは、光学式ロータリーエンコーダでSRジェネレータの回転子角度と回転数を検出し、励磁タイミングとPWM変調回路によって励磁電圧を変化させている。

 8/6SRジェネレータの可変速運転によって1500rpmから4500rpmの範囲で75.2%から88.2%の効率が得られ、回転数の上昇とともに出力も増加させることができた。小型風車に本システムを適用した場合に、風車の回転速度に応じて励磁電圧を制御することによって、広い回転速度にわたって出力と効率を良好に維持することができることを示した。今後は、小型風車やマイクロ水車などへ本システムの応用が期待される。

(福島大学 岡沼信一)

磁気応用

前の記事

48.02
磁気応用

次の記事

40.01