分野:
磁気記録
タイトル:
10月の磁気記録(MR)専門研究会(岡山大学)
出典:
50th Annual Conference on Magnetism and Magnetic Materials San Jose, CA, (2005/10/30-11/3)
 
概要:
 電子情報通信学会 磁気記録専門研究会(10月)が岡山大学において開催された(2005.10.6-7)。招待講演を合わせて<シミュレーション+一般>をテーマに9件の講演があった。委員長賞の受賞は、2件。
本文:
 2005年10月6, 7日,岡山大学大学院自然科学研究科講義室において,磁気記録専門研究会が開催された(http://www.ieice.org/es/mr/jpn/index.html)。今回の講演テーマは、<シミュレーション+一般>で、ソニーの白石淳也氏による招待講演「30GB超のBlu-rayDiscにおける信号品質評価方法」のほか、ヘッド関連2件、記録・再生特性3件、高記録密度化技術3件の講演があった。ここでは、委員長賞(学生を対象に、特に優秀な講演をした者を表彰)を受賞した2件について報告する。

 一件目は、岡山大の秋山孝ニさんの「三次元最適化手法を用いた単磁極型垂直磁気ヘッドの最適化」であった。<指定位置の磁界勾配の大きさ>等を評価関数としてこれらの値が最大になるように、ヘッド形状を連続的に変化させる手法である。興味深いのは、設定条件に依存しシールドヘッドやテーパードヘッドなどの垂直用単磁極ヘッドの基本形状が、オペレータの主観に左右されずに再現されている点である。今後、高記録密度化に向けた評価関数を導入することにより、先入観の入らない最適化されたヘッド設計ツールとして活用されることが期待される。

 二件目は、工学院大の齋藤智代さんの「コンポジット媒体の保磁力低減メカニズムと耐熱特性」であった。熱揺らぎ効果を取り込んだLLG方程式(ランジュバン方程式)を用いて、最近話題のコンポジット(ソフト磁性体とハード磁性体の間に強い交換相互作用を有する)垂直磁化膜媒体における、「よく書けて熱減に強い」メカニズムを詳細に検討している。ヘッド磁界による磁化反転時には、ハード磁性体内の磁化方向が分散し、その結果生じる大きな交換磁界が磁化反転を促進するように作用する。ハード磁性体単独では、このような磁化方向の分散は見られない。今後、モデルを高精度化することにより、コンポジット媒体を用いた垂直記録方式の記録密度の限界を見積もることが期待される。

(日立製作所 五十嵐万壽和)