10.02

10.02(第6回スピンエレクトロニクス専門研究会より)

強磁性半導体の強磁性の起源を軟X線磁気円二色性で調べる

 
藤森淳氏らは軟X線磁気円二色性(XMCD)を用いて強磁性半導体物質の電子 構造を調べ、GaN:Mnの強磁性は不純物起源であるが、(Zn,Co)O、(Ti,Co)O2および (Zn,Cr)Teは真性の室温強磁性半導体であると結論した。(Zn,Co)Oに関しては反強磁性成分の共存も示唆された。

 
東大の藤森 淳 氏は、軟X線磁気円二色性(XMCD)を用いて強磁性半導体物質の電子構造や強磁性の起源に関する詳細な検討を行った。
 講演の前半ではIII-V族 (Ga,Mn)Asに関する報告があり、(Ga,Mn)As中のMnのXMCDスペクトルには2つスペクトルから構成されており、Mnは置換位置のみならず侵入位置にも多量に存在することが 示された。また、両スペクトルの相対強度は熱処理によって大きく変化しており、磁化測定等の他の実験結果とコンシステントであることが指摘された。
 後半では、(Zn,Co)O、(Ti,Co)O2および(Zn,Cr)Te等の室温を超える強磁性半導体とされる物質に関して、強磁性析出物の可能性を議論した。上記の何れの物質も基本的には本質的な強磁性半導体であると結論されたが、このうち、(Zn,Co)Oに関しては強磁性成分に加 えて相当量の反強磁性成分が存在するという新たな描像が提唱された。ただし、従来報告されている磁化測定や可視領域のMCD測定結果と異なっており、今後、より詳細な検討が必要であろう。なお、やはり強磁性半導体物質として報告されているGaNをベースとした物質では、析出物がその強磁性の原因であると結論された。

(産総研 齋藤秀和)