第64回強磁場応用専門研究会

磁気力の魅力

 強磁場応用の一つとして磁気力の利用が挙げられます.水等の反磁性物質の磁気浮上や排水からの汚れ成分の磁気分離などが磁気力利用の代表例となります.そこで,磁気浮上を身近にした磁気アルキメデス効果の考案者であり、その後、いろいろな研究に取り組んでこられ、最近、また磁気科学分野でも活躍が目覚ましい日本工業大の池添泰弘先生と、深い物理の素養をベースとして、磁気分離や磁場中での流体挙動についてシミュレーションを中心に研究してこられた物材機構の岡田秀彦博士に磁気力利用の魅力についてご講演をお願いしました。
できるだけじっくりと議論するため、講演時間を長めにとっています。またとない機会ですので、是非、ご参加いただければと思います。

共 催:

低温工学・超電導学会 2022年度 第1回 時空間変調磁場の制御と応用に関する調査研究会
日 時:

2022年12月22日(木)13:30~16:20
開催場所:
ハイブリッド開催
現地会場:大阪大学東京ブランチ912会議室
(〒103-0023 東京都中央区日本橋本町二丁目3番11号 日本橋ライフサイエンスビルディング9階)

参加費:
無料

申し込み:
参加ご希望の方は世話人までご希望の参加形態をメールにてご連絡下さい。
Web 参加の方には、アクセス情報をご案内します。
アクセス情報をご案内します。
世話人:
秋山庸子(阪大) yoko-ak_at_see.eng.osaka-u.ac.jp
廣田憲之(物材機構) hirota.noriyuki_at_nims.go.jp
山登正文(都立大)yamato-masafumi_at_tmu.ac.jp
(_at_を@へ変更してください)
プログラム
13:30 – 14:50
磁気浮上の最先端

○池添泰弘(日本工業大)

物体を浮かす技術の一つとして磁気浮上が知られている。室温で温和な環境下で物体を浮上させ
ることが出来ることが特徴である。ただし、この研究を実施するには、通常は、強磁場施設にのみ
設置されているような超強力磁石を使用する必要がある。近年、コンピューターの性能が格段に向
上し、非常に精密な磁場分布シミュレーションも可能となってきた。我々の行ったシミュレーショ
ンにより、永久磁石のような家庭にあるような小さな磁石でも、うまい具合に磁石を配置すれば、
水やガラスなどの反磁性物体を浮上させることが可能であることが見いだされたので、最新の研究
結果を紹介する。
また、磁気浮上とは異なるが、界面でのナノバイオテクノロジーの研究の一つとして、「分子で
乱数を発生する」研究についても簡単に紹介する。

休憩(10分)
15:00 – 16:20
流体の運動への磁場の影響について

○岡田秀彦 (物材機構)

超電導マグネットによる強い磁場を用いた実験が容易に行われるようになって以来、流体(液体、
気体)の運動等への磁場の影響の実験的研究が多く行われてきた。流体および流体内の物質の運動
は、その持っている電荷、磁化、密度、温度等多くの変数によって磁場の影響を受け、それらが相
互に依存しているため、単純なモデルで解くことは難しい。
本講演では、我々が提案している理論的モデルについて紹介し、実験結果との比較等を行いその
有効性を示す。