85.01

分野:
スピンエレクトロニクス
タイトル:
電圧印加によるCoの強磁性/常磁性状態の制御に成功
出典:
第9回SPring-8シンポジウム (2005/11/17-18)
概要:
 京大化研とNECとJSTの共同研究チームは、Co薄膜に電圧印加することで磁化を室温で制御できることに成功した。
本文:
 
京都大学化学研究所の千葉大地助教、小野輝男教授は日本電気株式会社(NEC)と科学技術振興機構(JST)と共同で、Co超薄膜への電圧印加を通じて、強磁性状態と常磁性状態の制御が室温で可能であることを実験的に示した。
 電気的に磁性を制御する研究は、省エネルギーデバイスの実現に有用であり、これまで磁性半導体を中心に行われてきた。最近では、磁気異方性や保磁力の制御については磁性金属での報告例があり、強磁性そのものの制御については、磁性半導体に限られていた。
 本研究では、Co超薄膜にHfO2絶縁層を介して電圧印加をすることにより、Co膜の強磁性状態と常磁性状態を室温で制御できることを実験的に明らかにした。試料としてGaAs基板にMgO/Co/Pt/Ta細線を作製し、絶縁層としてHfO2、ゲート層としてAu/Crからなる素子を作製した。なお電圧0Vで膜は垂直磁化であった。素子の上下に±10Vのゲート電圧を加えた状態で、ホール抵抗を外部磁場±15Oeの範囲で測定したところ、310Kではゲート電圧によって保磁力が変わる様子が観測された。一方キュリー点近傍である321Kでは、ゲート電圧によってヒステリシスが角形から潰れる様子が確認された。Arrott plotによってキュリー点を詳細に解析した結果、±10Vの電圧印加によって、最大12Kの範囲でキュリー温度を制御できることを明らかにした。
 このような電界効果を用いた磁化の制御は、コイルを使わない磁界発生装置など、将来の省エネルギーデバイスへの応用が期待される。

(高輝度光科学研究センター 小嗣真人)