43.02

分野:
スピンエレクトロニクス
タイトル:
スピン注入磁化反転、微弱磁場下で精度良く制御できることを発見
出典:
Current-excited magnetization reversal under in-plane magnetic field in a nanoscaled ferromagnetic wire,
Y. Togawa, T. Kimura, K. Harada, T. Matsuda, A. Tonomura, Y. Otani, and T. Akashi,
Applied Physics Letters 92, 012505, (2008
概要:
 スピン注入による磁化反転は次世代スピントロニクスの制御技術のひとつとして高い注目を集めている。理化学研究所の戸川らは、パーマロイ磁性細線において、微弱磁場を素子に印加し電流を流すことで、制御性良く磁化反転を実現できることを見出した。

本文:
 
電流による磁化反転は将来のスピントロニクス素子の実現において重要な技術として高い注目を集めている。戸川らは、ローレンツ法を組み合わせた透過型電子顕微鏡を用いて、微細加工されたパーマロイ細線の磁化反転の様子を観察した。試料は幅500nm、厚さ30nmで長さ40μmのジグザク形状のパーマロイ細線を用意した。細線の長手方向に微弱磁場(数Oe)を加えた。この素子の磁化の反転確率を、印加磁場とパルス電流値に対し測定したところ、磁化反転確率は磁場の方向と大きさに強く依存した。2.0 x 1011 A/m2のパルス電流(パルス幅300ns)に対して、3.8Oe以上の磁場においては磁区の反転した状態が発生したが、1.7Oe以下の磁場においては一様に磁化した状態が安定的に現れた。同様にして磁化反転確率の印加磁場とパルス電流値に対する依存性を調べ、磁気相図を作成した。これらは、微弱磁場中で電流を印加することにより、高い再現性で磁化状態の制御が可能なことを示すものである。したがって、将来のスピン流を用いるスピントロニクス素子に有用な動作原理のひとつとして期待される。 
  

(高輝度光科学研究センター 小嗣真人)