34.03

分野:
スピンエレクトロニクス、磁気物理、磁性材料
タイトル:
スパッタ形成されたNiFeポイントコンタクトで140%のMRを確認
出典:
第54回応用物理学関係連合講演会(29aZT-3)
概要:
 東芝(東北大)大沢氏は、パーマロイで形成されたナノ接点に約140%の大きなMR比を確認したことを発表した。サンプルはパーマロイ磁性膜電極間をイオンビームスパッタで形成したナノ接点で接続している構造をしており、ドライプロセスで形成されたナノ接点に100%を超えるMR比が確認されたのは始めてである。実験確認した素子形状は、ハードディスク装置などで用いられるヘッドでの再生素子とは異なり2次元形状であるが、磁性体のナノ接点でも大きなMR比が得られうることを示しておりアプリケーション的にも興味深い。
本文:
 Ballistic MR(BMR)として知られる, Garciaらによって発見されたNiワイヤでのナノ接点を用いた巨大MRは、その物理的・アプリケーション的魅力から、その後多くの実験が行われてきた。しかし、巨大MR比の起源に関しては未だ議論の中にある。またアプリケーション的に必須である薄膜・ドライプロセス形成では巨大なMR比を示す結果が報告されてこなかった。

 大沢氏は、パーマロイ薄膜に2次元的な接点を形成し、さらに水平方向のイオンミリングを用いて縮小しながら真空中でそのMR比を測定する実験から、接点の面積縮小により磁壁によるMR比が上昇することを見出してきた。しかし、100%クラスの巨大なMR比を実現するには1平方ナノメートルクラスの接点まで縮小することが必要と予測された。そこで、そのサイズを実現するため極薄パーマロイ膜のイオンビームスパッタ形成とイオンビーム処理によるボトムアップ的なナノ接点形成法を試みた。その結果、最大約140%のMR比を確認した。さらに電流駆動による抵抗変化測定でも同様の大きな抵抗変化を得られたことから、Garciaらの実験などで指摘されているような、大きなMR比は磁歪などによる接点サイズの変化によるものではないと主張している。

 この薄膜・ドライプロセス形成を用いたパーマロイ磁性膜のナノ接点に大きなMR比が確認されたことは、ハードディスク装置用磁気ヘッドへのアプリケーションを目的として研究されているCPP構造の磁性体ナノコンタクト素子における今後の大きな可能性を示唆しており興味深い。  

(東北大学 金属材料研究所 関 剛斎)