20.02

分野:
ハード磁性材料
出典:
H. Nakamura, K. Hirota, M. Shimao, T. Minowa, M. Honshima; IEEE Trans. Magn. 41 (2005) 3844
李 徳善、鈴木俊治、堀川高志、伊東正浩、町田憲一、電気学会研究会資料MAG-05-117
三濃輪武久、2005BMシンポジウム講演要旨(2005年12月2日、日本ボンド磁石工業協会)
タイトル:
粒界改質で省重希土類の高性能高保磁力Nd-Fe-B焼結磁石実現
概要:
 Dy等の重希土類元素またはそれらの化合物を焼結Nd-Fe-B系磁石の表面から粒界に拡散することによって、高保磁力化に有効ではあるが磁化の減少をもたらすこれらの重希土類を粒界近傍だけに配置して、磁化の低下無しに高保磁力化する手法が、資源バランスの観点からも注目を集めている。
本文:
 高性能磁石材料がHEVなどの次世代自動車を支える基幹磁性材料となりつつあるが、耐熱性向上のため高保磁力化を目的として添加されるDyなどの重希土類資源が世界的に見ても地域的に偏在していることが高性能高保磁力磁石材料の大量消費時代を控えての懸念材料と見られつつある。これに応える研究開発として、省重希土類磁石材料実現の技術開発が磁石メーカを中心として精力的に推進されており、その成果が上がりつつある。焼結Nd-Fe-B磁石表面からDyなどの重希土類元素を粒界部に拡散させて保磁力を支配する粒界部だけに重希土類元素を配置し、主相内は重希土類レス化する技術が、大阪大学先端科学イノベーションセンターの町田グループ、および信越化学工業㈱の中村らによって発表されているが、2005年12月1日に東京で開催された電気学会のマグネティックス研究会、および12月2日に開催された日本ボンド磁石工業協会の「2005BMシンポジウム」において、それらについてまとまった報告がなされた。大阪大学先端科学イノベーションセンターの李らは対向ターゲット3次元スパッタ装置を用いて微小な焼結Nd-Fe-B磁石にDyおよびTbを蒸着し、900℃で拡散処理した後600℃で熱処理して、磁束密度(1.44T)を低下させることなく保磁力を0.98MA/mから1.26MA/m(Dy)および1.58MA/m(Tb)に増加させた。2005BMシンポジウム講演によれば、信越化学工業(株)の方法は磁石表面にアルコールに分散させたDyF3などの重希土類化合物粉末を塗布乾燥した後に磁石のNd-rich粒界相が溶融する温度域で熱処理することにより重希土類元素を磁石内部の結晶粒界に拡散させる方法であり、発表者の美濃輪はこの方法がスパッタ法よりも工業的実現性が高いとした。これらは重希土類元素を完全に無くす技術ではないが、使用量をより適正な資源バランスに向けて削減するために有効であると考えられ、今後の工業化動向が注目される。

(NEOMAX 広沢 哲)