58.03

分野:
磁気応用
タイトル:
第30回ナノバイオ磁気工学専門研究会「ナノバイオ磁気工学の展望」
概要:
2009/4/23キャンパス・イノベーションセンター東京 国際会議室にて開催、参加者は31名であった。2009年IEEE Magnetics Society Distinguished LecturerのKrishnan氏から、磁性ナノ粒子のバイオ・医療応用のレビューと最新の実験結果を紹介して頂いた。また、Sandhu氏(東工大)から磁性ナノ粒子の自己組織化を応用した検出方法について、Jeyadevan氏(東北大)から磁性ナノ粒子の発熱機構とハイパーサーミア応用に関して、講演頂いた。いずれの発表に対しても、多くのコメント、質問があり、活発な議論が交わされた。
本文:
 

  1. 「Biomedical nanomagnetics : A spin through new possibilities」Kannan M. Krishnan (University of Washington, Seattle, USA)
     Co、Coコア・Auシェル構造、Fe3O4などの単分散磁性ナノ粒子の作製、ハイパーサーミア応用、ドラッグデリバリー応用などを総説した講演であった。体内で使用されることを最優先し、生体適合材料であるFe3O4を用いた実験結果が紹介された。ハイパーサーミアには粒径の均一性が重要であることや、磁性ナノ粒子に期待されるtheranostic機能(therapyとdiagnosisを兼ねるという意味の造語)にも説明が及んだ。
  2. 「Detection of Magnetically Labeled Biomolecules by Self-Assembly of Superparamagnetic Microbeads」Adarsh Sandhu(東工大)
     ホール素子上に配線した金ストリップ線に通電することにより、磁性ナノ粒子を集約することで、高速検出を可能にする手法が紹介された。また、磁性ナノ粒子の自己組織化を用いて8 nmのターゲット磁性微粒子の検出に成功したことや、溶媒中の磁性ナノ粒子が印加磁界により配向することを利用した光透過率測定の結果が報告された。これらの手法により、高速・高精度な医療診断が期待される。
  3. 「Heat dissipation and diffusion characteristics of magnetite dispersion in ac magnetic field」Balachandran Jeyadevan (東北大)
     Fe3O4磁性ナノ粒子の交流磁界印加による発熱特性を報告した。溶媒の粘性を変化させた実験結果から、ネール緩和とブラウン緩和の寄与の分離と、それらの粒径依存を考察して、ネール緩和による発熱を最大かつ支配的にするために12~13nmが最適粒径であると結論づけた。さらにマクロファージ(RAW264.7)に平均粒径12.5nmのFe3O4を添加させ、磁界印加による加温効果の実験結果を紹介した。 

(横国大 竹村泰司)