17.03

分野:
パワーマグネティックス
タイトル:
完全非接触型磁気歯車装置の開発動向
概要:
 東北学院大学の鶴本勝夫教授の考案による完全非接触の磁気歯車は、振動や騒音がなく「夢の歯車」と云われている。現在、増速型磁気式遊星・差動歯車装置が開発され、性能試験により風力発電用の増速装置として最適であることが実証されている。
本文:
 従来使用されている鋼製歯車装置の欠点は、歯面同士が直接接触して動力伝達するため歯面の摩耗が進行し、振動や騒音が避けられないことであり、さらに厄介な問題は潤滑を必要としていることである。

 これに対して、永久磁石を規則的に配置したピニオンとギアを軸方向に空隙を介して並置する、完全非接触の磁気歯車が東北学院大学の鶴本勝夫教授により考案され、実用化に向けて研究が進められている。この磁気歯車は、非接触の状態で動力が伝達されることで、面倒な給油などの手間やコストがかからず、歯車のメンテナンスフリー化が可能であること、駆動側の振動が非接触の伝達により、受動側への影響を最小限に抑え騒音設計に貢献すること、また、歯車のかみ合いから解放されるため発塵がないため、ゴミやホコリを嫌うクリーンルームでの歯車装置の使用に適することなど、優れた特徴を有しているため、「夢の歯車」として実用化の期待が高まっている。非接触での伝達および磁気的なかみ合い形状の最適設計により、90%以上のエネルギー伝達効率を実現する。また、永久磁石と電磁石を組み合わせたハイブリッド式磁気歯車(超伝導磁気歯車で特許取得済み)や、二つの外輪歯車を持ち種々の入出力関係が成立するため多目的歯車装置としての実用化が期待できる磁気式遊星歯車も報告されている。

 現在、増速型磁気式遊星・差動歯車装置が開発され、性能試験により風力発電用の増速装置として最適であることが実証され、さらに、この磁気式遊星・差動歯車装置を二重連結すると、高増速比の伝導装置が実現できるため、隔壁動力伝達による高速真空ポンプの駆動やトルクリミッター機能を必要とする産業機械やクラッチ装置などへの応用が考えられている。

出展:
1)第9回「機械要素技術展」資料(2005年6月)
2)たとえば、鶴本、小松、操谷、後藤:日本応用磁気学会誌 29, 316-319 (2005)

(福島大学 岡沼信一)