95.01

分野:
磁気記録
タイトル:
高周波磁場アシストにより強磁性ナノ粒子の反転磁界の大幅な低減に成功
出典:
“Switching behavior of single Co/Pt nanodot under microwave assistance”
S. Okamoto, N. Kikuchi, M. Furuta, O. Kitakami and T. Shimatsu
ICAUMS 2012 / 36th conference on Magnetics in Japan, abstract 2pA-8
“Significant Reduction of Switching Field and its Distribution in Co/Pt Nanodots with Assistance of Radio Frequency Field”
S. Okamoto, N. Kikuchi, M. Furuta, O. Kitakami, and T. Shimatsu
Applied Physics Express 5, 093005 (2012)
 
 
概要:
 東北大学の岡本聡准教授らのグループは、Co/Pt多層膜のナノ粒子に高周波磁場を印加することにより、ナノ粒子の反転磁場を大幅に低減させることに成功した。
 
 
本文:
 東北大学多元物質科学研究所の岡本聡准教授らのグループは、約20 GHzの 高周波磁場をCo/Pt多層膜ナノ粒子に照射することにより、ナノ粒子の反転磁界が大幅に低減することを実験的に示した。
Tbitを超える磁気記録媒体の実現には強磁性微粒子の更なる微粒子化が必要である。しかし、トリレンマ問題でよく知られているように、強磁性微粒子サイズの低減により記録媒体の反転磁界がヘッド磁界よりも大きくなり、現行のシステムでは書き込みが困難になる。これを解決するために、媒体をレーザーで加熱して一時的に媒体の反転磁界を減少させる熱アシスト磁気記録(Heat Assisted Magnetic Recording, HAMR)や媒体に高周波磁場を印加することにより反転磁界を減少させる高周波磁場アシスト磁気記録(Microwave Assisted Magnetic Recording, MAMR)が提案されている。
 これまでのMAMRに関する研究は、比較的スイッチング磁場の小さい軟磁性材料や連続膜での原理実証的な実験が主に行われてきた。本研究では、異方性磁界が約10 kOeのCo/Pt多層膜のナノ粒子に約640 Oe (Hkの約6%)の高周波磁場を印加することにより、20 GHz付近でスイッチング磁場が約 80 %も低減することを実験的に示した。加えて、この周波数領域では反転磁界分布が非常に小さくなっており、磁化反転メカニズムも変化していることも明らかになった。マイクロマグネティクスの計算によると、この周波数領域ではスピン波励起による磁化反転が起こっていることが示唆されている。
 このような磁気記録媒体構造により近いハード磁性ナノ粒子による高周波磁場アシスト効果を実証したのは本研究が初めてであり、MAMRへの期待をさらにふくらませるものである。

(NIMS 高橋有紀子)