58.01

分野:
磁気記録
タイトル:
富士通と大阪大学が面内磁化回転型スピントルクオシレータにてマイクロ波発振を確認
出典:
Intermag 2009 (ER-14)
 
概要:
 面内磁化回転型スピントルクオシレータのマイクロ波発振を、初めて実験的に確認したもので、富士通と大阪大の共同研究として報告された。1Tbit/in^2超HDD技術の重要な候補であるマイクロ波アシスト記録(MAMR)進展へ向けた重要な一歩である。
本文:
 豚インフルエンザの影響で、多くの人が参加できなくなったIntermag 2009において、1Tbit/in^2超HDD技術の重要な候補であるマイクロ波アシスト記録(MAMR)進展へ向けた重要な一歩となる発表が行われた(ER-14)。

MAMRは、カーネギーメロン大学のZhu教授らが提案しているエネルギーアシスト記録の一種で、ナノオーダーのオシレーターから生み出される高周波磁界をアシストエネルギー源とする。ヘッド磁界の不足分を磁気共鳴によるエネルギーにて補うことにより、高記録密度HDD対応の高磁気異方性媒体の磁化反転をアシストする。今回の発表は、Zhu教授らが提案している面内磁化回転型スピントルクオシレータのマイクロ波発振を、初めて実験的に確認したもので、富士通と大阪大の共同研究として報告された。

グループは、CPP-GMRにおいてCoFe/Cu/CoFeAlSi積層構造を造りこみ、積層面と垂直に電流と磁界とを印加し、12~14GHzのマイクロ波発振が起こることを確認したものである。CoFeAlSi層は、スピン源として作用するとともに、面内磁化回転層であるCoFe層の磁化回転を検出するための参照層としても作用している。シンプルな構造としたことが、いち早く、マイクロ波発振の確認につながったものと思われる。MAMRは、これまで、計算機シミュレーションにより3Tbit/in^2記録の可能性が示されていたが、主磁極近傍に設置できるスピントルクオシレータの実験検証が行われていなかった。実際のMAMRへの搭載には多くの課題をクリアする必要があるものの、インパクトはきわめて大きく今後の進展が大いに期待されるなか、富士通がHDD分野から撤退することは非常に残念なことである。

(日立製作所 五十嵐万壽和)