24.02

分野:
磁気記録
出典:
INTERMAG 2006 (2006.05.10)
タイトル:
高性能TMR素子
概要:
 トンネル磁気抵抗(TMR)素子は次世代の超高密度ハードディスクの読み出し磁気ヘッドとして有望視されている。Nagamine等は、酸化マグネシウムをトンネル障壁に用いたTMR素子で、低素子抵抗0.4Ω/μm2、高磁気抵抗比57%を両立する素子を開発した。
本文:
 現在磁気ハードディスクの読み出し磁気ヘッドとして、トンネル磁気抵抗効果(TMR)を利用したTMRヘッドが主流になっている。次世代の超高密度磁気記録および読み出し速度の高速化に対応するためには、より高い磁気抵抗比とより低い素子抵抗の達成が求められるが、その両立は困難と言われていた。

 Nagamine等(Canon ANELVA)は、MgOをトンネル障壁に用いたCoFeB/MgO/CoFeBを市販のスパッタ装置用いて、MgO層のスパッタパワーおよびMgO膜の膜厚を変えた素子を作製し、特性評価を行なった。その結果、パワーが小さいときTMR比が高くなることが分かった。素子の作製条件の工夫により、低い素子抵抗0.4Ω/μm2、高い磁気抵抗比57%を合わせ持つTMR素子の作製に成功した(INTERMAG2006 DD-08)。この素子抵抗0.4W/mm2は、現状の磁気ヘッドの素子抵抗の2~3Ω/μm2より格段に低く、次世代の読み出しヘッドの転送速度の高速度化に要求される素子抵抗1Ω/μm2以下という要求も達成している。記録密度500Gbit/inch2超ハードディスク用ヘッドへの応用にはさらに高い磁気抵抗比が求められるが、この技術は市販のスパッタ装置で作製できるものであり、新型TMR素子開発を可能にするものとして期待される。

(独立行政法人 日本原子力研究開発機構 安居院あかね)