25.01

分野:
磁気物理
出典:
Appl. Phys. Lett. 88, 212907 (2006)
タイトル:
室温で強磁性強誘電体を示すマルチフェロイック物質Bi1-xBaxFeO3を合成
概要:
 Singapore大のWhanらは、室温で強磁性および強誘電体を示すBi1-xBaxFeO3の作製に成功した。さらに室温において磁場を印加し、磁場が増大するにつれて誘電率が増加する結果を示した。これによりBi1-xBaxFeO3は室温においてmagnetoelectric結合が存在することが分かった。今回の成果は、磁場で誘電率の制御あるいは電場による磁化の制御が可能であることを示しており、多値メモリという新たな概念のエレクトロニクスデバイス開発に結びつくことが期待される。
本文:
 
近年、強磁性および強誘電体を同時に示すマルチフェロイック物質の研究は強相関電子系の舞台として精力的に研究が行われています。また応用的な側面からも、多値メモリ材料(電荷のあるなし、磁気のSNの掛け合わせによる4通りの情報を記録できる材料)の有力候補として考えられています。これまで合成されてきたマルチフェロイック物質は強磁性強誘電性を示すが温度が低く応用材料としては魅力のないものであった。しかし今回Singapore大のWhanらによって合成されたBi1-xBaxFeO3は、室温で強磁性および強誘電体を示し、応用材料としても非常に注目されるべきものである。彼らは固相反応法でBi1-xBaxFeO3を作成し、X=0.15,0.25という組成比において、室温で磁化磁場および電場分極曲線においてともにヒステリシスが存在し、強磁性強誘電性の同時に示すマルチフェロイック物質であることを示した。さらに、印加磁場を増加させるにつれて、誘電率が増加し、magnetoelectric結合が存在することを示し、多値メモリという新たな概念のエレクトロニクスデバイスの可能性を示した。

(JASRI利用研究促進部門  水牧仁一朗)