9.06

9.06(第15回化合物新磁性材料専門研究会報告)

最近の新しいインターカレーション化合物とその物性

    2005年 1月 21日、東大工学部において、「最近の新しいインターカレーション化合物とその物性」とのタイトルで第15回化合物新磁性材料専門研究会が参加者23名を得て開催された。講演内容の概略は以下の通りである。
  桜井裕也(物材機構)氏は「NaxCoO2・yH2Oの合成と物性」とのタイトルで、 Nax(H3O)zCoO2・yH2Oの様々な組成についてその磁化率を中心に報告した。Coの価数が一定でも磁性のz/x 依存性が顕著であることから、インターカラントの積極的な役割が示唆された。
  鹿野昌弘(産総研関西)氏は、「Na-Ru-O系化合物の結晶構造と磁性」とのタイトルで、 NaRuO2、NaxRuO2・yH2O、Na2RuO4の結晶構造と磁性の関係について報告した。特に、NaxRuO2・yH2Oは、Co系超伝導体の類型化合物であり、今後の詳細な研究が期待される。
  上原政智(横国大院)氏は「SrRh2O4 yH2Oの合成と物性」とのタイトルで、新規超伝導体NaxCoO2・yH2Oと同じ結晶構造を持つ物質SrxRhO2・yH2Oをソフトケミカル・電気化学的手法を用い合成することに成功した。しかし、T 1.8 Kでは超伝導は確認できていない。
  野原 実(東大新領域)氏は、「水和した層状硫化物の超伝導」とのタイトルで講演を行なった。 層状遷移金属化合物に水分子などの分極を持つ分子を挿入することで、電子相制御を行う試みが進められている。その中で、ミスフィット層状硫化物の層間へ水分子を挿入すると発現する転移温度約5Kの超伝導を発見した。
  舟橋良次(産総研関西)氏は、「Bi2Sr2Co2O9へのインターカレーションと熱電特性」とのタイトルで講演を行なった。CoO2系層状物質の熱電特性向上を目指し、Bi2Sr2Co2O9相のBi2O2層間へのインターカレーションを試み、熱電特性を測定した。ヨウ素インターカレーションにより熱伝導度は低下した。

(物性研 村岡祐治)