分野:
ハード磁性材料
タイトル:
ISAMMA2007で北京工業大学における異方性ナノコンポジットバルク磁石の研究開発現状をMing Yue教授が講演
 
 
概要:
 北京工業大学のMing Yue教授のグループは、超急冷Nd-Fe-B磁石粉末に鉄ペンタカルボニルの分解で得たナノ鉄を複合化し、バルク化後、熱間塑性加工を加えることにより、Br = 1.4 T, HcJ = 900 kA/m, (BH)max=327 kJ/m3を得た。この特性は既存のNd-Fe-B系焼結と比較して高くはないが、異方性コンポジット磁石の現状到達点を示している。
 
 
本文:
 韓国の斎州島で2007年5月28日から6月1日に渡って開催された第1回International Symposium on Advanced Magnetic Materials (ISAMMA2007)では、スピントロニクスなどのメインストリームの多数の講演のほかに、ハード磁性材料分野でも活発な研究発表があった。

 北京工業大学、Key Laboratory of Advanced Functional MaterialsのMing Yue教授は、”Bulk anisotropic nanocomposite permanent magnets prepared by sonochemistry and spark plasma sintering”と題する講演で、異方性ナノコンポジットバルク磁石の研究状況について報告した。鉄ペンタカルボニル(Fe(CO)5)を不活性ガス流気下で氷水温度のデカンを溶媒として攪拌混合した超急冷Nd-Fe-B磁石日粉末を含む懸濁液に注入し、超音波を与えて分解させることにより、Feナノ粒子をNd-Fe-B粒子に付着させた複合粉末を作製した。この複合粒子をスパークプラズマ焼結法により短時間ホットプレスして微結晶組織を維持したまま緻密化した。その後、熱間塑性加工して異方性バルク磁石とした。得られた磁石は超急冷磁石を熱間塑性加工した場合に特徴的なc面方向に選択成長した扁平なNd2Fe14Bの微結晶組織を呈した。鉄の体積比率2%までは異方性磁石が得られたが、3vol%では塑性加工が困難となり,異方性磁石は得られなかった。得られた磁気特性はFeの体積比が1%のとき,Br = 1.4 T, HcJ = 900 kA/m, (BH)max=327 kJ/m3が得られた。

 この特性は既存のNd-Fe-B系焼結と比較して高くはないが、異方性コンポジット磁石の現状到達点を示していると考えられる。この方向の研究では酸化抑制への徹底した配慮が必要であり、グローブが8本並んだ長大なグロブボックスシステムを使用して、低温でFe(CO)5を分解させる手法でナノ粒子の酸化を抑制した。

(日立金属株式会社NEOMAXカンパニー磁性材料研究所 広沢 哲)