「磁気で計る-可視化の応用と問題」

 この研究会は種々の学間分野で必要に追られる可視化技術に関違し,非接触計測の在り方や問題点を整理し,新しい応用の可能性を探るという観点から,様々な分野で活躍されている研究者に講演をお願いした.講演題目と講演者は以下のとおりである.

日 時 :平成8年3月22日(金)
場 所 :商工会館
参加者 :23名

プログラム:

(1) 非破壊検査で追る傷と劣化 : 荒克之(原研)
(2) 解析で追るノィズ源分布 :  斎藤兆古(法政大)
(3) 渦電流探傷の挑戦画像化 : 山田外史(全沢大)
(4) 心磁界の挑戦心疾患診断 : 葛西直子(電総研)
(5) MRIの挑戦脳機能計測 : 滝沢修(シーメンス旭メディテック)
(6) 磁気で計る歴史遺跡調査 : 酒井英男(富山大)
(7) 超磁盃材と海洋音響トモグラフィ : 脇若弘之(信州大)

1. は原子力発電所の定期点検などに欠かせない非破壊検査 法の中から特に,磁気的非破壊検査・計測法の最近の技術動向 に関する講演で,新しい渦電流探傷ブローブの開発動向とその 背景,材質劣化計測の可能性と最近の事例にっいて述べられ た.これらは多体,複雑系を取り扱うため未踏の問題も多く, 魅力に富む学際的研究分野として若い研究者の参加が呼びかけられた.

2. は電磁界ノィズ源は局所的な電磁界測定から探査しよう とする意欲的な試みについての講演である.離散値系のWavelet 変換を用いる新しい解析法によって,経験に墓づく人為的 な拘東条件付加せずにシステム行列の持っ本質的情報を圧縮抽 出し,線形システムの近似解が得られることが述べられた.

3. は現場で数多く使用されている渦電流探傷法に関する講 演で,特に,測定の簡便さという特徴を生かしつつ,傷の有無 のみならずその形,大きさ,方向などのより詳細な情報の得ら れる探査技術に関する新しい展開についての解説された.

4. は生体磁気計測の分野で注目されている技術の一つであ る非侵襲計測診断に関する講演で,心筋興奮に伴い発生する磁 界分布の計測から興奮位置の推定を行い,興奮が心筋全体に広 がる状態を可視化しようとする試みが述べられた.

5. は臨床用の両像診断法として定着している磁気共鳴画像 法の将来は生体機能計測にあるとする講演で,ヘモグロピンの 酸化状態の変化を利用する脳機能計測の試みや生体中のェネル ギー代謝に関係するATPなどの測定とともに,機能計測には 必須の超高速スキャン法について述べられ,動画像化も可能と なることが示された.

6. は考吉遺跡における磁気探査および岩石磁気の調査に関 する講演で,遺構の位置や性格などを探る目的で発掘前に実施 され考古学調査の効率化に役立っ電磁気探査の実際,地磁気逆 転を用いた年代測定,旧石器遺跡の落雷の跡など,大地に記録 された磁化の計測から浮かび上がる歴史が述べられた.

7. は広大な海洋温度分布をリアルタイム且つ長期問にわた り計測しようとする試みに関する講演で,超磁歪材料を振動子 として使用することで初めて低周波大出力の音源が実用的サィ ズで構成でき,海洋温度分布計測が可能となったことや水温分 布の計測例が示された.

この研究では,非接触計測によって見えないものを如何にし てみるかという点に的をしぼり,様々な分野から魅力あふれる 講演をしていただいたので,多くの学生や君い研究者にぜひ聞 いていただきたかったが,年度末という時期的な而もあって か,君手の参加者は少なかったようである.しかしながら,参 加された方々からは好評を博し,参加者数にとらわれずに,今 後も横断的なテーマを軸とした企画を続けていく必要性を痛感 した.

(東北大 松木英敏)