107.01

分野:
スピンエレクトロニクス
タイトル:
正三角形パーマロイボルテックスコアを用いた可変周波数磁気共鳴を実現
出典:
1) http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/2013/2013_12_20.pdf 2) Satoshi Yakata, Terumitsu Tanaka, Kohei Kiseki, Kimihide Matsuyama, and Takashi Kimura, “Wide range tuning of resonant frequency for a vortex core in a regular triangle magnet”, Scientific Reports, Vol. 3, Article number: 3567 doi:10.1038/srep03567 (2013).
 
 
概要:
 九州大学理学研究院の木村崇教授らの研究グループは、正三角形状に微細加工したパーマロイコアを用い、このコアに加える磁界の強さと方向を制御することで、強磁性体の共鳴周波数を広い周波数範囲でチューニング可能であることを数値計算シミュレーションおよび実験事実に基づいて報告した。これにより、帯域周波数可変マイクロ波フィルタの実現や情報通信機器の小型化、通信速度の高速化に繋がることが期待されている。
 
 
本文:
 九州大学理学研究院の木村崇教授らの研究グループは、正三角形状に微細加工したパーマロイコアを用い、このコアに加える磁界の強さと方向を制御することで、強磁性体の共鳴周波数を広い周波数範囲でチューニング可能であることを数値計算シミュレーションおよび実験事実に基づいて報告した。本報告はNature姉妹誌のオンラインジャーナルである”Scientific Reports”に掲載されたことが、同大学のプレスリリースにより報じられており、その研究概要が掲載されている。それによると、同研究グループは以前より、パーマロイを用いて正三角形に微細加工した試料においてスピンボルテックス構造を安定化させることができることを示し、これに磁界を加えることで、渦の中心を正三角形強磁性体内の任意の位置に移動させる技術を確立していた。今回の報告ではマイクロストリップライン上に一辺約2μm、膜厚40nmのパーマロイ正三角形ドット列を配置し、電流方向と直交する向きに磁界を印加し、ボルテックス中心を三角形の頂点側に移動させることで、共鳴周波数の変化を調べた。その結果、共鳴周波数は磁界が無い場合に約200 MHzであったものが、磁界の増加に伴い連続的に上昇し、400 Oeの印加磁界において約600 MHzまで高めることが可能であった。これは、ボルテックス中心が三角形の頂点側に移動することで、スピンボルテックスの径が狭められ、共鳴周波数が増大したためであると結論づけている。
 今回の実験では共鳴周波数がMHz帯であったが、正三角形ドットの膜厚を増すことで可変帯域を広げることができるため、GHzを超える高周波化が可能になることが期待される。また、強磁性体ドットの形状や寸法を吟味することで要求される可変帯域に適合したデバイスが得られるとしている。これらの特性を応用することで帯域周波数可変マイクロ波フィルタの実現や情報通信機器の小型化、通信速度の高速化などにつながると期待している。

(埼玉大学 柿崎 浩一)