94.02

分野:
スピントロニクス
タイトル:
新奇トポロジカル絶縁体Bi-Te-Se表面に有効質量ゼロの電子を観測
出典:
“Topological Surface States with Persistent High Spin Polarization across the Dirac Point in Bi2Te2Se and Bi2Se2Te”K. Miyamoto, A. Kimura, T. Okuda, H. Miyahara, K. Kuroda, H. Namatame, M. Taniguchi, S.V. Eremeev, T.V. Menshchikova, E.V. Chulkov, K. A. Kokh, and O. E. Tereshchenko Phys. Rev. Lett. 109, 166802 (2012)
 
 
概要:
 広島大学放射光科学研究センターの宮本幸治助教、奥田太一准教授、木村昭夫教授を中心とする研究グループは、新奇トポロジカル絶縁体Bi2Te2Se および Bi2Se2Teの表面上に有効質量ゼロの新しい電子を発見した。独自に開発したスピン分解光電子分光装置を用い、その電子の運動状態をスピン分解して直接可視化したところ、高いスピン偏極度を示すことが世界ではじめて明らかとなった。成果はPhys. Rev. Lett.誌に掲載された。
 
 
本文:
 広島大学放射光科学研究センターの宮本幸治助教、奥田太一准教授、木村昭夫教授を中心とする研究グループは、独自に開発した世界最高性能(従来の100倍の検出効率)を有する高効率スピン角度分解光電子分光装置を用いて、新奇トポロジカル絶縁体であるBi2Te2Se および Bi2Se2Te表面における有効質量がゼロの電子(Dirac電子)を観測し、その電子状態を世界で初めて解明した。
 実験の結果、このDirac電子はFermi面で約77%の高いスピン偏極率を有し、さらに束縛エネルギー600meVの範囲まで、これまで報告されたものよりも、はるかに広いエネルギー範囲にわたって、極めて高いスピン偏極度が維持されていることが明らかになった。この成果からは、次世代大容量低消費電力型のスピントロニクスデバイスや、超高速コンピューターの開発への展開が期待される。

(SPring-8/JASRI小嗣真人)