114.03

分野:
スピンエレクトロニクス
タイトル:
垂直磁気異方性を示すNi/Co人工格子膜の磁壁エネルギー
出典:
“Magnetic domain wall energy in Ni/Co superlattice”, Journal of Magnetism and Magnetic Materials, vol. 372, pp. 41-46 (2014). DOI: 10.1016/j.jmmm.2014.07.046
 
 
概要:
垂直磁気異方性を示す[Ni(0.8 nm)/Co(0.2 nm)]N人工格子膜の磁壁エネルギーを,KoeyとEnzによって提唱された古典的モデルを用いて実験的に決定した.実験より求められる双極子長は15-25 nmであり,その結果算出される磁壁エネルギーは4-7 erg/cm2とされた.
 
 
本文:
垂直磁気異方性を示すNi/Co人工格子膜は,電流駆動による磁壁の高速駆動が可能等の理由から,磁壁移動型デバイスへの応用が期待される材料である.大阪大学のToyokiらは,Ni(0.8 nm)/Co(0.2 nm)人工格子膜の積層周期数を変化させることで実効的な磁性体膜厚を変化させ,磁区周期と一軸磁気異方性エネルギーの変化から双極子長を実験的に決定し,その値を用いて磁壁エネルギーを決定した.得られた値は,双極子長が15-25 nm,磁壁エネルギーとして4-7 erg/cm2とされた.
磁性材料の磁壁エネルギーは,特に磁壁移動型デバイスでは重要なパラメータになると思われるが,これまでに決定された例は少なく,L10-FePtなどの限られた材料で報告されているのみである.この報告では,人工格子膜に対して古典的なKoeyとEnzの理論を適用することで磁壁エネルギーを算出しているが,同様の手法を用いることで,種々の垂直磁化膜の磁壁エネルギーの算出が可能であろう.磁性材料の磁気パラメータ―については,今後もデータを蓄積する必要があると思われるため,こうした基礎的な知見の蓄積も期待したい.

(大阪大学大学院工学研究科 白土優)