85.02

分野:
スピンエレクトロニクス
タイトル:
非磁性相変化メモリー材料における電場誘起巨大磁気抵抗
出典:
“Electrical-field induced giant magnetoresistivity in (non-magnetic) phase change films”
J. Tominaga, R. E. Simpson, P. Fons, and A. V. Kolobov
Appl. Phys. Lett. 99, 152105 (2011).
概要:
 産総研の富永らは、GeTe/Sb2Te3の超格子型相変化メモリー材料において、400Kを超える温度で2000%以上の巨大な磁気抵抗を発見した。
本文:
 
産業技術総合研究所の富永淳二らは、GeTeとSb2Te3を積層した非磁性の合金薄膜を作製し、電場印加によって室温以上の温度で2000%以上の磁気抵抗効果を発現させた。
Ge2Sb2Te5に代表される相変化メモリー(PCM)は加熱・冷却によって結晶- 非結晶状態を制御することで見られる抵抗スイッチを利用しているが、最近報告された超格子型相変化メモリー(iPCM)の材料であるGeTe/Sb2Te3積層膜では高抵抗状態・低抵抗状態の両方において結晶性が保持されており、Geの配位数の変化によってその違いが発現している。この積層膜系のうちSb2Te3はトポロジカル絶縁体であることが知られており、磁場を印加することでラシュバ効果によるスピン状態の分裂が期待される。著者らはこのトポロジカル絶縁体が表面だけでなくiPCMの界面でも起こり、それによる磁気抵抗効果発現の可能性を予想した。そこで本研究では[(GeTe)2(Sb2Te3)4]8超格子積層膜(iPCM)、およびそれと同組成のGe1Sb4Te7薄膜において電気特性の0.1T磁場による影響を調べた。磁場印加前・印加中・印加後での抵抗値を測定したところGe1Sb4Te7薄膜においてはほとんど変化が見られなかった。一方、iPCM超格子積層膜では特定の電圧の領域で磁場印加中のみ明らかな抵抗値の変化が見られた。0.5Vの定電圧下で磁場印加前と印加後で200kΩであったのに対し、磁場中では4MΩであった。またこの変化は可逆的であることが分かった。このような巨大な磁気抵抗効果は、多層膜の各界面におけるトポロジカル絶縁体で見られるスピン流に依るものと考えられる。

(東京大学 谷内敏之)