83.01

分野:
スピンエレクトロニクス
タイトル:
東芝がギガビット級大容量スピン注入書き込みMRAMの基盤技術を確立
出典:
東芝のプレスリリース
http://www.toshiba.co.jp/rdc/rd/detail_j/1106_02.htm
概要:
東芝は磁化反転電流密度0.5MA/cm2の低電流書込みと抵抗変化200%の高出力読み出しを両立させた、新しい垂直磁化MTJ素子を開発した。
本文:
 
ギガビット級のスピン注入MRAMを実現するためには、磁化反転電流密度を1MA/cm2以下、抵抗変化を200%以上とする必要がある。2007年に東芝は垂直磁化方式MTJ素子で安定したスピン注入書き込みができることを実証しているが、当時の垂直磁化MTJ素子の反転電流密度は3MA/cm2とまだ大きく、抵抗変化率は15%と面内磁化方式に比べて小さいことが課題であった。

今回、東芝はコバルトと鉄をベースにした新しいMTJ素子材料を開発し、磁化反転時の摩擦係数を大幅に低減したことで、反転電流密度を0.5MA/cm2まで低減することに成功した。さらにMTJ素子の記憶層とトンネル絶縁層の界面を改良したことで、垂直磁化MTJ素子の抵抗変化率を200%以上にすることにも成功した。これら低電流化と高抵抗変化率はDRAM並みの高速動作と、DRAMでは実現不可能な消費電力の低減やノーマリーオフ動作を実現する上で必要不可欠であり、今後はメモリアレイ技術や量産加工技術の開発などを進めて、数年以内にギガビット級のMRAMを製品化する予定であるという。

なお、この高性能MTJ素子の開発の一部は東芝と産業技術総合研究所・東北大学・大阪大学・電気通信大学によるNEDOプロジェクトにおける共同研究により開発したものである。

(東芝 野間 賢二)