19.03

分野:
スピンエレクトロニクス
出典:
東芝およびNECのプレスリリース
タイトル:
高集積・高速・低消費電力MRAMの実現に大きな期待
概要:
 産総研、および東北大のグループはそれぞれ、MgOバリアを用いた磁性トンネル接合において、電流誘起磁化反転の臨界電流密度を室温で106A/cm2台、あるいはそれ以下に低減することに成功した。これらの成果は、高集積磁気ランダムアクセスメモリの低消費電力書き込み、高出力読み出しを同時に可能にする技術を実現し、次世代ギガビットクラス磁気ランダムアクセスメモリ開発に道を拓く。
本文:
 電流誘起磁化反転(CIMS)の臨界電流密度(Jc)は強磁性フリー層の体積に比例するため、大容量磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)の書き込みにおいてスケーリングに必須の技術と考えられている。一方、MRAMの読み出しに関しては、室温において磁気抵抗比(TMR比)が300%を超えるMgOバリアを用いた磁性トンネル接合(MTJ)が有望視されている。このため、MgOベースMTJにおいてCIMSのJcを如何に低減できるかがMRAM開発の大きな技術的課題である。

 産総研のグループは、CoFeB/MgO/CoFeBを用いたMTJにおいてCIMSを示した。MTJの磁気抵抗比(TMR比)は約100%である。室温において、100msのパルス印加時間での磁化反転のJcは約6×106A/cm2である。このJcの値は、これまでのMgOベースでのMTJにおけるそれを1/3に低下させた ( Jpn. J. Appl. Phys. 44 (2005) L1237)。

 東北大のグループは、同様のMTJにおいて、270℃および300°CアニールのサンプルでJcをそれぞれ7.8×105A/cm2および8.8×105A/cm2に低減させた。それぞれのサンプルのTMR比は49%および73%だった。アニール温度を350°CとしたサンプルではTMR比は160%に向上するものの、Jcは2.5×106A/cm2に上昇した (Jpn. J .Appl. Phys. 44 (2005) L1267)。

 これらの成果は、高集積・高速・低消費電力MRAMの実現に大きな期待をもたらす。

(東北大 市村雅彦)