9.01(IEDM2004より)

IBMが3次元高集積磁気メモリのアイデアを披露

  IBMのDr.ParkinがIEDM2004(講演番号37.1)で披露した"Domain Wall Magnetic Race Track Memory"のアイデアは、磁気バブルメモリやブロッホラインメモリを思い起こさせる。磁気バブルで使用されていた2次元平面での横方向シフトレジスターを 縦方向にしたものといえる。ただし、ビット情報のシフトには、スピントランスファー 効果を用いることが想定されている。スピントランスファー効果により磁壁を動かすことが出来ることはBergerにより80年代から理論的に予想されていたが、最近、京大の小野らによりパーマロイ細線中の磁壁の移動が実験的に示されるなど注目が集まって いる。(Phys. Rev. Lett. 92, 077205 (2004))。
  磁気バブルなどと比べると、高価なガーネット結晶ではなく安価な強磁性金属が使用できる、電流パルス駆動なので高速であり配置の自由度も高いなどのメリットがありそうだ。シーケンシャルアクセスのためメモリというよりはストレージの性格が強く、アイデア段階のようであるが、ビットコストが非常に低いストレージと高速ランダムアクセスが要求されるメモリに挟撃されても生残れるだけの可能性を示す試作が実際にできるかどうかが勝負であろう。
  HDDも光ディスクもすでにビットサイズがナノスケールと非常に小さくなっているた め、今後のストレージ技術には三次元化の視点も重要になってくると思われる。その方向の一つのアイデアとしては注目される。

(産総研 安藤功兒)