6.03

6.03:米アラバマ大学MINT Centerワークショップ

デュアル・スピンバルブ型のTMR素子でスピン注入磁化反転を実現

  スピン・トルクを用いた微小接合素子の磁化反転をMRAMの書込に使えるかどうか注目されている。トンネル接合素子でスピン注入磁化反転を初めて成功させた米国 Grandis社のHuai博士が、新しい研究成果を発表した。
  フリー層を両側から2層のピン層で挟んだ「デュアル・スピンバルブ構造」を用いれば、磁化反転電流を半分以下に下げられることが理論的に予想される。スパッタ成膜Deep UVリソグラフィを用い て、片側のスペーサー層に非磁性金属(Cu)、もう一方のスペーサー層にトンネル障壁(Al-O)を用いたデュアル・スピンバルブ素子(接合サイズ80nm×160nm、RA=16.5 Ωμm2、MR=18%(室温))を作製し、反転電流JC=1.2×106A/cm2(Ha=50gauss)、 JC=2.7×106A/cm2(Ha=100gauss)という値を実現した。シングル・スピンバルブ構造のトンネル素子に比べて、反転電流値は半分となった。また、R-I曲線の角型性が非常に良く、磁化反転が非常にシャープに起こること示していた。講演後にHuai氏と直接議論したところ、「スピン注入反転をMRAMで実用化するために、反転電流を105A/cm2まで下げ、かつMR比を60%以上にしたい。そのためにMgOトンネル障壁に期待している」とコメントを受けた。

(産総研 湯浅新治)