4.04

4.04:プレスリリースより

室温で230%のTMR比を示す素子がスパッタ法で作製可能に!

  アモルファスAl-Oを障壁とするTMR素子の室温におけるTMR比の大きさは2004年1月のMMM会議でNVEとアネルバから同時に報告された71%弱が最高であり、これがほぼAl-O系TMRの限界と考えられていた。このTMR比はギガビット級のMRAMを実現するには不十分であり、より高いTMR比を示すTMR素子の開発が期待されていた。
  2004年3月、産総研のYuasaらはFe/MgO/Feの完全単結晶TMRで88%のTMR比と380mVの出力電圧を得たことを報告した。(Yuasa et al., Jpn. J. Appl. Phys. 43, L588 (2004))。しかしながら、その試料はMBE法によりMgO基板上に作製されたものであり、MRAMや磁気ヘッドの量産プロセスへの適合性は明らかでなかった。2004年9月7日、産総研とアネルバは共同で、MgO系TMR素子をスパッタ法で8インチシリコン基板上に作製させることに成功したと発表した(http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2004/pr20040907/
pr200400907.html
)。
  今回開発された膜では、室温で230%のTMR比と370mVの出力電圧が得られている。Yuasaらによる完全単結晶TMR素子に比べて、TMR比が大幅に向上しているにもかかわらず出力電圧が同程度なのは、そのバイアス依存性(Vhalf ~ 700mV)が従来のAl-O系TMR素子と同程度であるためである。作製条件の改善によりさらに高い出力電圧が期待される。室温におけるトンネル抵抗値は約500Ωμm2であり、MRAM用TMR素子として適当な値である。今回の結果により、ギガビットMRAM実現のためのTMR信号出力の問題はほぼ解決されたといえる。

(産総研 安藤 功兒)