3.08

3.08:Phys. Rev. Lett.

バルク状のアモルファス鋼

  直径約4mmのバルク状のアモルファス鋼(Amorphous steel)の作製に成功したとの研究論文が掲載された(Z.P.Lu, et al., Phys. Rev. Lett. 92, 245503-1 (2004))。
  Fe系では、これまでは専ら薄膜や薄帯状のものしかなく、Pd-Cu-Ni-Pなどの特殊な合金系を除き、バルク状のアモルファス合金を作ることは出来なかった。アモルファス合金は、結晶質の材料と比較して、硬度や圧縮(引っ張り)応力、電気抵抗率、ヤング率などに優れている。更に磁性アモルファス合金となれば鉄損を大幅に減らすことができる。今回の報告された典型的な合金組成は (Fe44.3Cr5Co5Mo12.8Mn11.2C15.8B5.9)98.5Y1.5 であり、Fe系とは言え、キュリー点(Tc = 55 K付近)が低く室温で磁性体ではないが、もっとFeの多い合金が出来れば、優れたトランスや各種電気機器の材料に発展する可能性がある。技術的なポイントは、イットリウムを添加すると液相線(温度)が下がり、多くの共晶点が重なるという点である。作製法は通常の銅の鋳型を用いた鋳造法で、アモルファスであるか否かはX線回折法、光学顕微鏡観察、および熱分析法で確認されている。論文には、硬度や圧縮応力、ヤング率などと熱分析のデータが示されている。
  アモルファス形成元素(Glass forming atom)については、関連文献(D.Xa, et al., Phys. Rev. Lett. 92, 245504-1 (2004))に詳述されている。

(産総研 片山利一)