3.06

3.06:TMRC2004

量産可能なディスクリートトラック磁気記録媒体

  米国コロラド州ボルダーで開催されたThe Magnetic Recording Conference 2004 (TMRC2004) において、KomagのWachenschwanzらは、ナノインプリント・リソグライフィを使い、安価で容易に量産可能なディスクリート・トラック長手磁気記録媒体を発表した(F5: Design of a Manufacturable Discrete Track Recording (DTR) Medium)。
  R-シータ系ステージ付きレーザービームあるいは電子ビーム(分解スポットサイズ40nm)露光装置を使って、Siマスターから作製したNiスタンパーを使い、ポリマーレジストのエンボス加工によって同心円テクスチャ付きNiPめっきAlMg製基板にグルーブを形成し、DTR基板とした。その上に、長手磁気記録膜を成膜し、特性を評価した。ランドに記録し、ヘッドの書き込みと読み出しの幅はそれと等しいか、より広いことを特徴とし、 track miss-registration(TMR)を減少させ、イレーズバンドによるSNR劣化を防いでいる。メディアSNRのモデル計算から、ディスクリートトラックなしのベタ膜に比べ、+1.25 dBのSNR向上を確認し、その他、CoCrPtB面内膜(Hc = 4.15 kOe、 M rt = 0.36 memu/cm2)による実測のOWのオフトラック特性などを報告した。特に、トラックエッジ部起因の特性劣化がないことが特徴である。トラックピッチ(TP)は800 nmから127 nm(200 Gb/in2相当)までを試作し、285 nmまでは光学スタンパによる。それ以下は、EBによる。EBによる127 nmTPでは、マスタ作製時の電子の散乱によるランド・グルーブ境界の波うちが見られる。グルーブ幅と深さは色々作製しているが、TP = 285 nmのときは、グルーブ幅 = 140 nm、深さは55 nmである。ランドの端が雪庇のようにせり出しており、そのあご下の膜が薄くなっている部分起因の耐食性の劣化が今後の課題という。
  その他の課題としては、DTRに適したヘッドABS形状の開発、トライボロジーなどをあげた。他に同じDTRのHDIに関する関連報告が1件(C3:Tribology Aspects of Discrete Track Recording)あった。垂直記録膜付きDTR媒体についても検討中という。

(産総研 安藤 功兒)